14 6月, 2014

FIFAW杯 スペインvsオランダ

 前日に行われた開幕戦の余韻も冷めやらぬ中、グループステージの初戦で前回大会決勝の組み合わせです。

スペイン

    GK
  •   1 カシージャス
  • DF
  • 22 アスピリクエタ
  •   3 ピケ
  • 15 セルヒオ・ラモス
  • 18 ジョルディ・アルバ
  • MF
  • 16 ブスケツ
  • 14 シャビ・アロンソ → 11 ペドロ (62')
  • 21 ダビド・シルバ → 10 セスク・ファブレガス (78')
  •   8 シャビ
  •   6 イニエスタ
  • FW
  • 19 ディエゴ・コスタ → 9 トーレス (62')

オランダ

    GK
  •   1 シレッセン
  • DF
  •   3 デ・フライ → 13 フェルトマン (77')
  •   2 フラール
  •   4 マルティンス・インディ
  • DF
  •   7 ヤンマート
  •   8 ジョナサン・デ・グズマン → 20 ワイナルドゥム (62')
  •   6 デ・ヨング
  •   5 ブリント
  • FW
  •   9 ファン・ペルシー → 17 レンス (79')
  • 10 スナイデル
  • 11 ロッベン

 スペインは今シーズンアトレティコ・マドリードで大活躍を見せたディエゴ・コスタをセンターハーフに置く4-3-3の形。2010年のワールドカップ、2012年のユーロで優勝したものの説得力のあるストライカーがいなかったこのチームにフィットすることはできるのでしょうか。
 オランダは3バックの前に4枚並べる形の3-4-3。スペインの攻撃に対して前線の3人まで含めてどのような守備ブロックを作ってくるか注目です。

2014 FIFA World Cup Brazil™: Spain-Netherlands - Overview - FIFA.com

 オランダは3バック試合前の予想通り7枚でバイタルエリアを埋めていく狙い。ただ単純にウイングバックを下げて5-2ではなく、近くにいる選手に対してはエリアをまたいでついていってボールが入るとかなり厳しくアタックしていました。特にイニエスタのポジションチェンジに対してはデ・フライをはじめ常に誰かがチェックして前を向かせない意図が感じられます。さらにファン・ペルシーやスナイデルもスペインのDFがオーバーラップした際にしっかりとついてきているためにさらにスペースがなくなっていく悪循環。
 ただ中盤で潰すために最終ラインはかなり高めに保っており、ここでディエゴ・コスタの裏を狙う動きが有効に働いてきます。先制点につながったPKもDFラインの間を斜めに切った形でオランダの目論見を崩す形になりました。

 先制されて前に出ざるを得なくなったことでオランダは序盤ほどコンパクトな陣形を作れなくなり、さらにスペインのペースに。ロングカウンターでシュートまでもっていくスペインを見るのはわりと珍しい気もします。ただその流れを断ち切ったのがファン・ペルシーのヘディングシュートでした。スペインの守備もオランダのビルドアップに対する人数は揃っていたのですが、セルヒオ・ラモスが完全においていかれてしまいカシージャスのポジションまで見切った完璧なゴールです。
 ファン・ペルシーのすごさもさることながら、動き出しを見逃さずにクロスをあげたブリントもすごいです。センターライン付近でも簡単に蹴らせてはいけないということでスペインはより早いプレッシャーが必要になってきます。

 ただそのプレスをさらに上回ったブリントは53分にも低い位置からのロングボールでロッベンの追加点をアシスト。FWの動き出しを見ながらダイレクトであんなボールが出せるとか脅威以外の何者でもありませんね。もちろんきっちりトラップして2人かわしてゴールに叩き込んだロッベンの得点能力は言うに及ばず、中盤からの守備にリソースを割いても個人でこれだけ持っていければ十分です。
 スペインもペドロとトーレスと投入し前線の動きの活性化を図りますがオランダのバイタルエリアは閉じられたまま。サイドから放り込むという選択肢を持たないスペインは徐々に手詰まり感が出てきてしまい逆に5失点という最悪の展開になってしまいました。

 オランダは90分を通してイニエスタをはじめスペインのポジションチェンジに対してかなり研究して対策をしてきた印象です。ポゼッションサッカー対策は各チームが近年様々な形で行っていますが、この試合のオランダもその集大成と言えるのかもしれません。もちろん前線に個の力で点の取れる選手とそこに正確なボールを出せる選手がいてこそのスピードに乗ったロングカウンターなのですが、その狙いがうまくはまったオランダが初戦を大勝で飾りました。

13 6月, 2014

FIFAW杯 ブラジルvsクロアチア

 サッカー王国ブラジルで開催される4年に1度の祭典FIFAワールドカップ。普段はクラブ中心であまりナショナルチームの試合を見ることはないのですが、やはり世界最大のスポーツイベント、1カ月間がんばって早起きして見てしまう生活になりそうです。

ブラジル

    GK
  • 12 ジュリオ・セーザル
  • DF
  •   2 ダニ・アウヴェス
  •   3 チアゴ・シウバ
  •   4 ダヴィド・ルイス
  •   6 マルセロ
  • MF
  • 17 ルイス・グスタヴォ
  •   8 パウリーニョ → 18 エルナネス (63')
  •   7 フッキ → 20 ベルナルジ (68')
  • 11 オスカル
  • 10 ネイマール → 16 ラミレス (88')
  • FW
  •   9 フレッジ

クロアチア

    GK
  •   1 プレティコサ
  • DF
  • 11 スルナ
  •   6 ロヴレン
  •   5 チョルルカ
  •   2 ヴルサリコ
  • MF
  • 10 モドリッチ
  •   7 ラキティッチ
  •   4 ペリシッチ
  • 20 コヴァチッチ → 14 ブロゾヴィッチ (61')
  • 18 オリッチ
  • FW
  •   9 イェラヴィッチ → 16 レビッチ (78')

 ブラジルの先発メンバーは1年前のコンフェデレーションズカップでもお馴染みだった構成。抜群の安定感とネイマールのアイドルっぷりで地元優勝を期待されています。対するクロアチアは個々の選手はクラブで見ているもののチームとしてどういうサッカーをするのかは勉強不足にて全く知りません。まあこれからそんな国はたくさん出てくるのであまり気にしないでください。

2014 FIFA World Cup Brazil™: Brazil-Croatia - Overview - FIFA.com

 ブラジルはまずボールを保持して積極的に先制点を狙っていきますが、クロアチアも自陣に入ってから中盤でしっかりと潰す形を作れているために簡単にはシュートまでいかせてくれません。プレスポイントがはっきりしていて前線に入れるグラウンダーのパスを許しませんでした。そこで2列目の3人の位置を入れ替え崩しどころを探っていたところでマルセロのオウンゴールでクロアチアが先制。
 ブラジルの両サイドバックが高い位置をとるのはどのチームも織り込み済みですが、開幕戦からあんなに綺麗に裏をとられるとは思っていませんでした。それまでも何度か狙っていたところでしたが中での人数は足りていましたし付き方も悪いわけではなかったのですが仕方ないですね。

 先制はされましたがブラジルはまだ余裕を持って組み立てていけます。フッキが左に流れネイマールが中央に、マルセロとの3角形を起点にしようというのがひとつ。さらにオスカルが右サイドに張ってダヴィド・ルイスと2人でサイドチェンジや裏のスペースを狙っていくのがひとつ。パウリーニョのボールの受け方も変化をつけて中盤のとりどころをずらしていこうという意図も見えますし、試合中にこれだけ修正してこれるチーム力はすごいです。
 待望の同点ゴールは中盤のつぶし合いを制したネイマールがドリブルで運んでそのままゴール右隅に決めました。執拗な右サイドでの裏狙いの影響か、クロアチアのDFラインが少し下がりはじめたところでネイマールには十分すぎるくらいバイタルエリアがあいてしまいましたね。

 後半はブラジルがサイドバックの上がりを抑え、右サイドのオスカルを起点にする崩しを増やしていきます。前半の左サイドとは違う形でコンビネーションを作っていき1対1の場面では確実に相手DFを外せるテクニックはさすがとしか言い様がありません。クロアチアの左サイドバックに入っているヴルサリコも前半はで耐えていましたが、オスカルの足元に的確なパスが入って前を向かれると止めるのは至難の業です。
 クロアチアのニコ・コバチ監督は中盤のコヴァチッチに代えてブロゾヴィッチを投入。その直後にスコラーリはエルナネスとベルナルジを相次いで入れ中盤を制する戦いになります。このあたりブラジルはもちろんですが、クロアチアも自分たちのやり方にある程度自信を持っているんだなあということがうかがえます。モドリッチもブラジルのはやいチェックに負けずしっかりとした組み立てを見せていましたし、前線にマンジュキッチが入ればさらに出しどころも増えてくるんじゃないでしょうか。

 PKによる勝ち越し点が入ってからは前に出るクロアチアと迎え撃つブラジルという構図に。そして途中交代で元気なベルナルジを中心とした左サイドからの崩しがまた出始めます。試合中意図的に重点を置くサイドを2度も変えてくるチームとかほんと嫌ですね。そこからのカウンターでさっきまで右サイドで起点になっていたオスカルが追加点。
 オスカルは去年のコンフェデではなかなかコンディションが上がらず苦しそうでしたがW杯にはしっかり仕上げてきました。この試合ではある意味ネイマールよりも重要なポジションで結果を出したんじゃないでしょうか。といってもセレソンの照準は確実に決勝に合わせてきてるはずなのでこれが1カ月保てるかはまだ疑問ですが。

 というわけで開幕戦は開催国のブラジルが順当に勝利。内容も素晴らしく今大会の優勝候補筆頭であることはやはり間違いないですね。
 PKの判定については直後から世界中で賛否両論というか主に非難があがっていますが、まあ主審の判断の範囲内なんじゃないかという感想に留めておきます。これで西村さんが決勝トーナメントに登場しなければやはりとるべきでなかったファウル。もし決勝で吹くことになったら賞賛されるべきいい裁定だったとFIFAが判断したということでしょうから。

27 5月, 2014

UEFA CL決勝 レアル・マドリードvsアトレティコ・マドリード

 今シーズンも各国リーグが終了し、残すはヨーロッパの頂点を決めるCL決勝のみとなりました。CLの形式になってからは初の決勝ダービーマッチ、さらに舞台はリスボンということでイベリア半島内で収まってしまう形の今シーズンですが、運動量とスピードで対戦相手を凌駕してきた両チームによる最高峰の戦いが期待できます。

レアル・マドリード

    GK
  •   1 カシージャス
  • DF
  • 15 カルバハル
  •   2 ヴァラン
  •   4 セルヒオ・ラモス
  •   5 ファビオ・コエントラン → マルセロ (59')
  • MF
  • 19 モドリッチ
  •   6 ケディラ → 23 イスコ (59')
  • 22 ディ・マリア
  • FW
  • 11 ベイル
  •   9 ベンゼマ → 21 モラタ (79')
  •   7 クリスティアーノ・ロナウド

アトレティコ・マドリード

    GK
  • 13 クルトワ
  • DF
  • 20 フアンフラン
  • 23 ミランダ
  •   2 ゴディン
  •   3 フェリペ・ルイス → 12 アルデルヴァイレルト (83')
  • MF
  •   8 ラウール・ガルシア → 24 ソサ (66')
  •   5 ティアゴ・メンデス
  • 14 ガビ
  •   6 コケ
  • FW
  • 19 ジエゴ・コスタ → 7 アドリアン・ロペス (9')
  •   9 ダビド・ビジャ

 レアルはシャビ・アロンソが出場停止、ぺぺがベンチスタートと要所を押さえる選手がいないものの、ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドという世界中の監督がうらやましがる攻撃陣は健在。アトレティコは怪我で出場が危ぶまれていたジエゴ・コスタが先発出場とリーガで優勝した勢いそのままのメンバーです。

UEFA Champions League 2014 - Real Madrid-Atlético – UEFA.com

 前半9分で早々にジエゴ・コスタが退いてしまうというアクシデントはあったものの、レアルが攻め手を探っていく中でアトレティコがしっかり守備を機能させチャンスを作らせないというどちらも自分たちのやり方で押していくような形。ボールを持った選手が誰でもクオリティの高い攻撃を仕掛けていけるレアルに対してアトレティコはボールホルダーに前を向かせないという力業で対抗していました。
 レアルの伝家の宝刀であるスピードに乗った突破は一度抜かせてしまうとファウル覚悟でなければ止められないので、どのチームもやっていきたい戦術ではあると思うのですが、やはりプレスを回避して配球できるシャビ・アロンソの欠場が響いているのかここまでしっかりと抑えられてしまう試合は珍しいのではないでしょうか。前半縦のドリブル突破はベイルとディ・マリアの1度ずつくらいとなってしまいました。

 攻撃のポイントを抑えられさらに先制されてしまったことで流れを変えたいレアルはアトレティコの疲れを待つのではなくマルセロとイスコを投入。間違いなく攻めの起点を増やそうという交代で、これによってセンターからの展開のバリエーションが増し左サイドではロナウドがポジションをあけても高い位置で勝負できるようになりました。
 対するアトレティコもラウール・ガルシアに代えてソサを入れて中盤の運動量を確保し速いチェックを継続。徐々に押し込まれる時間帯となっていきますが4-4の守備ブロックに加えてアドリアン・ロペスとビジャまでしっかりと引いて守り確実に数的優位を作ってしのぎます。それでも個で仕掛けられるレアルもすごいのですが。

 後半ロスタイムまでアトレティコが守り切ってもうこのまま終了かと思われましたがこちらもまたCKからセルヒオ・ラモスが同点弾。最後まで流れで崩されなかったあたりアトレティコもがんばったのですがここまででした。延長戦は案の定一方的なレアルペース。もう仕方のないところではありますがビジャしかレアル陣地内でボールを持てないアトレティコに得点の気配はありませんでした。
 ベイルのフィジカルを見せつけるヘディングに続いて途中出場でスタミナが有り余っているマルセロのゴール、ついでにこの日全く仕事をさせてもらえなかったロナウドのPKと公式記録で終わってみれば4-1でレアルが10度目のビッグイヤーを掲げました。アトレティコは89分までリードしほぼゲームプラン通りに勝利を手にしかけていましたが初の栄冠には届かず、シメオネ監督が試合中にもかかわらずピッチ内に入って審判に抗議するなど残念な結果になってしまいました。

 120分で点差はつきましたがいずれにしてもレアル、アトレティコ両チーム共に自分たちのサッカーを高いクオリティで実践し90分間ハードワークできるチームであったことは間違いありません。守備をさぼるFWが許されるのは1人までというのはもはや常識ですし、ボールを繋げないセンターバック、攻撃時に脅威になれないサイドバックもこのレベルになると一段落ちて見えてしまいます。
 組織守備からのカウンターが持ち味と評されているアトレティコにもジエゴ・コスタをはじめ個で勝負できる選手は必要ですし、銀河系軍団レアルも(ロナウドはともかくとして)前線からのベンゼマのチェイスや中盤の選手による囲い込みは不可欠です。アンチェロッティもシメオネも自分のカラーを持ち選手を組んでいくタイプだとは思いますが、この両チームと準決勝で敗れたチェルシーやバイエルンとの違いは極端にどこかに振れるのではなく高いレベルでバランスがとれたチームだったのかなというのを強く感じた大会でした。

19 5月, 2014

セリエA第38節 ミランvsサッスオーロ

 散々だった今シーズンもこの試合で終わりとなります。対する相手は前回の対戦でベラルディの大爆発を許してしまったサッスオーロです。前節破れたことで難しい状況になってしまったEL出場権もまだわずかな可能性を残していますし、最後まで勝点3を求めていきたいですね。

ACミラン

    GK
  • 32 アッビアーティ
  • DF
  •   2 デ・シリオ (89'退場)
  • 13 ラミ
  •   5 メクセス (68'退場)
  • 21 コンスタン → 81 ザッカルド (63')
  • MF
  • 18 モントリーヴォ
  • 34 デ・ヨング
  •   4 ムンタリ → 92 エル・シャーラウィ (59')
  • FW
  • 23 ターラブ
  • 11 パッツィーニ
  • 22 カカ → 45 バロテッリ (73')

USサッスオーロ・カルチョ

    GK
  •   1 ポミーニ
  • DF
  • 33 メンデス → 26 テッラノーヴァ (78')
  •   6 アリアウド
  • 28 パオロ・カンナヴァーロ (86'退場)
  •   3 ロンギ
  • MF
  • 45 チブサー → 14 マスッチ (73')
  •   4 マニャネッリ
  •   7 ミッシローリ → 16 ビオンディーニ (46')
  • FW
  • 25 ベラルディ
  • 10 ザザ
  • 17 サンソーネ

 今日はトップにバロテッリではなくパッツィーニが先発。中盤は前節に続いてモントリーヴォ、デ・ヨング、ムンタリの3人をセンターに並べていますが、前線のメンバーが代わっています。前節でほとんど機能しなかった攻撃をどのように作っていけるか。さらにこ今週からミランの下部組織に所属していた15歳のマストゥール君がプロ契約をしてトップチームに登録されベンチ入りしました。おそらく出場機会はないかもしれませんが注目の選手ですね。

Milan 2 - 1 Sassuolo - legaseriea.it

 試合開始前に余談ですがこの試合はシーズン最終節ということで、定番となっている来シーズンのユニフォームのお披露目ともなっています。最大の特徴は胸のエンブレムがミラノ市の象徴であるサンジョルジョの十字になっている点。バルバラが進めているマーケティング面での改革の一環として、クラブのエンブレムが変更されるのではないかとの噂もありますがそれと関係があるのでしょうか。
 映像で見ていると肩のラインが白になり、縦縞の数も減ったことで全体的には今シーズンよりもシンプルな印象です。ここ数シーズン必ず入っているイタリア国旗の3色は背中のベンチレーション部分に採用されていますがやはりアップにならないと目立たないですね。ただ注意深く見ていくと襟のボタンやフォントが変更された背番号など細かいディティールも凝っていてかっこいいと思います。

 そうこうしているうちに試合開始早々ムンタリの豪快なミドルシュートで先制しさい先のいいスタート。ボールを保持して相手に攻撃をさせないことには成功していますが、例によって相手に引かれてしまうとなかなかゴール前を崩せない展開。逆にいいテンポでシュートまで持っていければ可能性を感じる場面は多かったですし、サッスオーロの両サイドには比較的スペースがあったのでコンスタンやデ・シリオのオーバーラップも効果的でした。
 追加点はデ・ヨングによるゴール正面30メートルくらいの位置からのフリーキック。普段プレースキックを蹴る選手がモントリーヴォを除いて軒並みベンチにいる中でデ・ヨングとラミが準備していたのでどう蹴るのかと思いましたが相手の壁に当たってうまくコースが変わる幸運にも助けられて安心できる追加点となりました。

 後半も安定感のある試合運びで要注意のベラルディも単発の攻撃に抑えることができました。エル・シャーラウィを投入してからは若干守備のブロックがあいてしまう場面もありましたし、メクセスの退場によって少し前への重心が薄れた感はあったものの危なげなく時間を使っていけたのはいいところですね。89分にデ・シリオのPK献上と退場によって少し後味は悪くなってしまいましたが、シーズン最終節を勝利で終えられたのは素直に喜ばしいです。

 他会場の結果によってEL出場圏内である6位はパルマに決定しミランの最終順位は8位。来シーズンヨーロッパの舞台には立てなくなりました。全て今シーズンの結果の積み重ねであり自業自得なので受け入れるしかありません。ここ数年ずるずるときてしまったつけを払うためにもまずはクラブの収支面での改善、そしてフリートランスファーの選手を漁るのではなく将来まで見据えたチーム作りのための選手構成を考えるいい機会でしょう。
 今回マストゥールが盛大なプロモーションと共にトップチーム入りしたのはマーケティング的な理由が大きいのでしょうが、エル・シャーラウィ、デ・シリオを筆頭にペターニャ、クリスタンテといったプリマヴェーラ育ちの若手が今後のミランを担っていってくれることを願わずにはいられません。さらにバロテッリやモントリーヴォ、もちろん本田も含め各国代表に選出されたいま世界のトップを走っているメンバーはW杯で活躍しクラブにもいいフィードバックをもたらしてくれると信じています。

12 5月, 2014

セリエA第37節 アタランタvsミラン

 来シーズンもヨーロッパの舞台で戦うために、残り2試合を連勝で終えなければならないミラン。ダービーに勝利したことで希望は見えているのでこの試合でも勝点3を狙っていきたいです。

アタランタBC

    GK
  • 47 コンシーリ
  • DF
  • 77 ライモンディ
  • 29 ベナルアン
  •   6 ベッリーニ
  • 28 ブリービオ
  • MF
  • 17 カルモナ
  • 21 チガリーニ
  • 18 バセッリ → 8 ミリアッチョ (74')
  • FW
  • 11 モラレス → 23 ブリエンツァ (87')
  • 19 デニス
  • 10 ボナヴェントゥーラ → 91 ジュゼッペ・デ・ルカ (68')

ACミラン

    GK
  •   1 アメーリア
  • DF
  •   2 デ・シリオ
  • 13 ラミ
  •   5 メクセス
  • 21 コンスタン
  • MF
  • 18 モントリーヴォ
  • 34 デ・ヨング
  •   4 ムンタリ → 23 ターラブ (76')
  • 10 本田 → 92 エル・シャーラウィ (46'HT)
  • FW
  • 45 バロテッリ
  • 22 カカ → 11 パッツィーニ (80')

 この試合はひさびさに中盤に3枚並べる4-3-1-2のフォーメーションとなっています。セードルフ監督は今シーズン限りというのがもっぱらの噂ですが、このシステムも来シーズンを見据えた首脳陣の指示なのでしょうか。4-2-3-1も機能してきたところだと思うのですがどうなんでしょう。先発メンバーは出場停止のアッビアーティに代わりアメーリアが先発。トップ下に本田、2トップにバロテッリとカカという顔ぶれとなっています。

Atalanta 2 - 1 Milan - legaseriea.it

 センターハーフを3人並べるフォーメーションは人数をかけてバイタルエリアを埋め、相手の攻撃を封じるための守備のシステムととらえられがちですが、前線の人数が少ないだけに勝利を重ねて行くには攻撃時の工夫が大事になります。
 アンチェロッティはピルロを相手のプレッシャーの少ない位置に置いて守備の負担を軽減させることでFWに正確なパスを届け、アッレグリは、ノチェリーノ、ムンタリ、そしていまは監督となっているセードルフを次々と前線に飛び出させることで攻撃に厚みを持たせてきました。

 そしてこの両方でスクデットをとったシーズンで重要だったのが劣勢の時ひとりでも試合を決めることができるシェフチェンコやイブラヒモビッチといったFWの存在でしょう。カウンター1発で相手を置き去りにできるスピード、味方のあがりを待ってボールをキープできる力といったものがないと安定して上位をキープするために必要な負けないチームにはなれない気もします。
 バロテッリは当然その役割を期待されていますが前述したストライカー達のような活躍は見せられていません。その結果としてミランは低迷しアッレグリは解任、セードルフは就任時から4-2-3-1の採用を公言し勝率を上げていることを考えると現状で3センターを採用する意図がよくわからなくなってしまいます。

 今シーズンの総括のような内容になってしまいましたが、この試合に負けたことで上位への進出はほぼなくなってしまいました。ミランの攻撃の時間が少なかったわけではないのですがこれといった形が作れず、最後のブリエンツァによる劇的なスーパーゴールはもう相手を褒めるしかないようなものなので仕方のないところでしょう。
 エル・シャーラウィの復帰やカーサ・ミランのお披露目、新スタジアムの話も進捗があるようですしピッチの中でも外でも今後に向けて長い目で見ていく必要がある時期です。数年後に振り返って13-14シーズンが上昇のターニングポイントになるようにしていきたいですね。もちろん次のサッスオーロ戦にはいい形で勝利して気持ちよくシーズンを終えましょう。

04 5月, 2014

セリエA第36節 ミランvsインテル

 まさに絶対に負けられない戦いであるダービー、もといデルビー。間違いなく世界で最も注目を集める1戦が日本でも大きく取りあげられています。ミランの本田、インテルの長友とそれぞれに日本人が所属し対戦するなんてやっぱり少し前には信じられないことですからね。
 ただ今シーズンのミランはまさに崖っぷち。残り3試合を残してEL出場圏内の5位インテルまで勝点差6なのでそういう意味でも必ず勝っておかなければいけない試合です。

ACミラン

    GK
  • 32 アッビアーティ
  • DF
  •   2 デ・シリオ
  • 13 ラミ
  •   5 メクセス
  • 21 コンスタン → 20 アバーテ (86')
  • MF
  • 34 デ・ヨング
  • 18 モントリーヴォ
  • 16 ポーリ → 4 ムンタリ (72')
  • 22 カカ → 11 パッツィーニ (76')
  • 23 ターラブ
  • FW
  • 45 バロテッリ

インテル

    GK
  •   1 ハンダノビッチ
  • DF
  • 23 ラノッキア
  • 25 サムエル
  • 35 ロラン
  • MF
  •   2 ジョナタン → 11 リカルド・アルバレス (78')
  • 10 コヴァチッチ
  • 19 カンビアッソ → 13 グアリン (70')
  • 88 エルナネス
  • 55 長友
  • FW
  •   8 パラシオ
  •   9 イカルディ → 22 ディエゴ・ミリート (82')

 怪我明けの本田はベンチスタートとなっていますがこの試合に合わせてデ・シリオが復帰、そしてエル・シャーラウィがベンチ入りしています。

Milan 1 - 0 Inter - legaseriea.it

 インテルはいつも通りウイングバックを最終ラインまで下げて5-3-2の形で守り、ボールを奪ってから前線のパラシオまではやく運んでシュートまで持っていこうとしてきます。パラシオ、イカルディまでが守備に参加してくるとどうしても攻撃のスペースは消されてしまうために崩しのアイデアが必要ですね。
 カカとターラブが入れ替わってみたりバロテッリが降りてきたりとここ数週間はいろいろと試行錯誤をしているのですがやはり厚い壁に跳ね返される展開。結局シーズンを通して最終的に武器となる形は確立されなかったように思います。

 前半はミランがボールを保持する時間が長かったのですが、後半は早々からインテルがラインを高めにして攻撃に出てきます。それでもデ・ヨングを中心にスピードに乗った攻撃を許さずしのいでいたので徐々にペースも取り戻し両チーム共に大きなチャンスを作るのが難しい時間帯が続きました。
 ミランは前線で停滞してしまうと個人での打開頼みに、インテルは相手の守備ブロックができてしまう前に打ち切らないとゴールに迫れないという弱点が大きく現れた試合になりましたが、やはりこのあたりがミラノのチームがスクデット争いに加われない理由なのか唯一の得点はセットプレーからでした。バロテッリは最近シュートだけでなく人に合わせるボールも高いクオリティで蹴れるようになっているのが素晴らしいですね。

 内容はともかくダービーで勝利したということはまずかなり喜べる材料です。本田の出場がなくあまりレベルの高い試合ではなかったことで日本ではいろいろと批判もありそうですが、なによりも勝点3を獲得して今シーズンの順位に希望が持てただけでも御の字でしょう。残り2試合しっかりと勝ちきってEL出場への切符をつかみ取りましょう。

28 4月, 2014

セリエA第35節 ローマvsミラン

 5連勝で2位ローマとの戦いを迎えたミラン。目標であるEL出場権の獲得に向けて5位インテルとの勝点差は5、さらに来週にはインテルとのダービーも控えておりまさに大一番となる一戦です。

ASローマ

    GK
  • 26 デ・サンクティス
  • DF
  • 13 マイコン → 35 トロシディス (83')
  •   2 ラファエウ・トロイ
  •   5 カスタン
  •   3 ドド
  • MF
  • 15 ピアニッチ → 11 タッデイ (86')
  • 16 デ・ロッシ
  • 44 ナインゴラン
  • FW
  • 27 ジェルヴィーニョ
  • 10 トッティ → 24 フロレンツィ (77')
  •   8 リャイッチ

ACミラン

    GK
  • 32 アッビアーティ
  • DF
  • 25 ボネーラ
  • 13 ラミ
  •   5 メクセス
  • 21 コンスタン
  • MF
  • 18 モントリーヴォ
  •   4 ムンタリ → 15 エッシェン(58')
  • 10 本田 → 7 ロビーニョ(80')
  • 22 カカ
  • 23 ターラブ
  • FW
  • 45 バロテッリ → 11 パッツィーニ(69')

 本田が3試合ぶりに怪我から復帰し先発出場しているほか、右サイドバックにはボネーラが入っています。ローマ

Roma 2 - 0 Milan - legaseriea.it

 試合が始まってまず感じたのがモントリーヴォ、ムンタリが攻撃時に非常に高い位置をとっていることでした。最近はロビーニョやターラブといった2列目のサイドの選手が中に絞ってサイドバックが上がっていくことが多かったのですが、この試合の序盤ではサイドに張ってボランチの2人がバイタルエリアに入り、そのスペースはボネーラかコンスタンが埋めていました。
 ローマはとにかく両サイドからの突破とバイタルエリアの使い方が素晴らしいチームなので、選手の起用も含めてサイドバックがあまり上がっていくリスクを冒したくないという判断だったのかもしれません。ただそうなると今度はDFラインがボールを持ったときに中盤から降りて顔を出す選手がいなくなってしまい、ビルドアップがほとんどできなくなってしまうことに。ロングボールはデ・ロッシをはじめ中盤で中を固めている選手がきっちりとフィルターを作っているためになかなか通りませんし難しいところですね。

 前線まで運べないミランに比べてローマは攻め手の多彩さが際立っていました。前線で人もボールも動くサッカーをやっているチームというのがすごくよくわかります。ポゼッションもでき仕掛けるための動きもでき、さらに個人で打開できる選手もいる非常におもしろいチームですね。
 それでも前半はかなり耐えていたのですが、43分にピアニッチの文句のつけようのないドリブルから先制されてしまいました。体重移動と足先だけでモントリーヴォとメクセスを抜き去ったドリブルは見事と言う他ありません。アッビアーティもよく反応して触っていましたがあそこまで突破されてはどうしようもないですね。

 後半も有効な攻め手がないままローマのポゼッションで試合が進み、ジェルビーニョがゴール前でつめて追加点。いい位置でボールを受けることができなかったバロテッリに代わってパッツォが入るもリーグ最少失点のローマ守備陣に仕事をさせてもらえず。カカとターラブのドリブルが止められてしまうと得点の気配がなくなってしまいますね。
 5連勝でいい試合をするようになってきたとはいえ、まだまだ上位相手には全く通用しないところがありありと出てしまいました。これでユーヴェ、ナポリに続いてCL圏内のチームには全て完敗。次節はEL圏内を争っている相手でもあるインテルが相手ですが、ダービーという意味だけでなくここで勝てなければ上位進出の目は完全にたたれてしまうわけで絶対に勝って欲しいです。