11 6月, 2012

EURO2012 ドイツvsポルトガル

直前にオランダがデンマークに敗れるという形で幕を開けた死のB組。安定した組織的攻撃で優勝候補にあげられるドイツとクリスティアーノ・ロナウドで注目されるポルトガルの対戦です。

GERvsPOR

 キックオフ直後に仕掛けたのはドイツ。ボアテングのクロスからマリオ・ゴメスがヘッドでゴールを狙うも先制はならず。その後もドイツがボールをポゼッションする形で主導権を握っていきました。ポルトガルは前線の3人によるカウンターを軸に攻めるもドイツの最終ラインがしっかりと連携した守備をとっていたため決定的なチャンスは作れず。

 対するドイツもロナウド対策で守備一辺倒だったボアテング、さらに逆サイドのラームもほとんどオーバーラップがなく攻撃に厚みがないまま終了。中盤がどんどんサイドに流れて作っていこうとしてたんですけどそこで数的優位が作れるほどの連携がとれていませんでした。もうひとつ残念だったのがマリオ・ゴメスはとことんボールを待っていたところ。ポルトガルの守備ががっちり堅かったわけではなかったのですごいもったいないと思うんですけど、ディフェンスラインのギャップをついて裏をとる動きはほとんど見られませんでした。

GER

 後半に入りポルトガルは最終ラインから前線の距離を短く保ってカウンターのスピードを上げていきます。守備もエジルやケディラ、シュバインシュタイガーの動きに対応してしっかりゾーンを作っていてだんだんとポルトガルのペースに入っていきました。モウリーニョによってさらに磨かれたカウンターのスピードはつまらないだのなんだの言われますけどさすがですね。ドイツはこのカウンターに対して徹底して勝負を避けるという方法で対策。ボアテングはロナウドとの1対1の時自分からは仕掛けず距離を保って抜かれなければいいという基本を貫いていました。ずるずる下がってしまうとか言われてましたけどきちんとフォローがもう1人入ってましたしロナウドと相対するときはこれで正解だと思います。

 流れはポルトガルでしたけど先制したのはドイツ。この試合執拗に右サイドからの崩しにこだわっていたドイツの攻撃が実を結び、ケディラのクロスをメリオ・ゴメスが下がりながらもしっかりコースを狙ってヘッド。エジルをはじめケディラ、シュバインシュタイガーまでもがミュラーを絡みながらサイド攻撃を繰り返していたので狙い通りの形となりました。

 先制されたポルトガルもオリベイラ、バレラと立て続けに投入し、ロナウドがゴールに近い位置でボールに触れるようになって点を取りに行きますが一歩及ばず。ドイツが虎の子の1点を守りきって初戦を制しました。両チームともまだまだ改善点は見えるものの方針は明確、相手チームへの対策もしっかりしてきていたのでやっぱりレベルが高いです。勝ったドイツは時節初戦を落として後のないオランダと、ポルトガルは勝利で勢いに乗るデンマークということでおもしろくなる予感ですね。

05 6月, 2012

香川の12-13シーズンを考える

 ずっと噂にはなってましたが、香川のドルトムントからマンチェスターUtd.への移籍が正式発表されました。というわけで来シーズンの香川の動きを予測してみたいと思います。


Dortmund 11-12

 まずは今シーズンのドルトムントの基本戦術から。シーズン序盤はヌリ・シャヒンの穴を埋められずに苦戦してましたが、フンメルスやシュメルツァーから前線にいい形でボールが入るようになって昨シーズンの圧倒的な強さが戻ってきました。バックラインからトップ下までダイレクトに縦パスが入れば香川、ゲッツェの得意な形に持って行きやすいですからね。

Dortmund_leftattack


 この形の時重要なのは、香川にボールが入るとまわりの選手は香川に寄るようにしてスペースを作っているところです。もともとドリブルでがんがん突破していくタイプではない香川にとってすぐにさばける位置に味方がいて、かつその背後のスペースも使えるこの形は非常に有効な基本戦術だったわけです。もちろんゲッツェもフィジカル強い方ではないですしそのへんは香川だけじゃないでしょうけど。

 さて、話は変わって今期のマンUですが、CLはベスト16まで進出できずに敗退、リーグの方もシティに劇的な優勝を持って行かれるという歯がゆいシーズンになりました。

Manutd 11-12

 基本的なフォーメーションは伝統の4-4-2を変わらず踏襲。長期政権のお手本のようなファーガソンのサッカーをやっていました。そんなマンUの攻撃陣のどこに香川が組み込まれるのか、とりあえず順当にこんな感じでしょうか。

Manutd 12-13


 マンUの方のメンバーも多少変更はありそうなので現時点での噂を加味するとこんな感じでしょうか。ナニの放出はどうかわかりませんけど。

 このシステムで香川が入ると当然求められる役割としてはまず縦への動きになります。ドルトムントのように小さいスペースで数的優位を作って崩すような動きはファーガソンのプランにはありません。まずボールを持ったら前を向いて展開するか突破するかが基本になります。もちろん全員がそれだけの力も持ってますし1対1なら負けないからこそできる戦術ですが。
 電撃復帰を遂げたスコールズはそのあたりきちんと理解していて、展開するか自分で持って行くかの判断がすごく速いです。逆にパク・チソンはサイドでプレッシャーの少ないポジションにもかかわらず目立った動きができなかったことが出場機会を減らす要因だったのかなとも思います。

 なにはともあれこういうシステムで優勝を狙うチームに入った以上、香川が突破力と縦へのスピードがちゃんと出せることを願うのみです。これまでの裏を狙うスピードやバイタルでの速さだけじゃなくてもっと大きいスペースでの動きが求められると思うので苦しいかもしれませんががんばってほしいですね。