28 6月, 2013

FIFAコンフェデレーションズカップ準決勝 スペインvsイタリア

 準決勝のもう1試合は前回W杯王者で欧州選手権の覇者スペインとその欧州選手権決勝でスペインに破れたイタリアの対決です。こちらも順当な結果ながら欧州選手権決勝カードの再現ということで、イタリアがリベンジを果たすことができるか嫌が応にも期待が高まります。当の選手や監督たちは記者会見であの試合とは違うということを繰り返し強調していましたけどね。

ESPITA

スペイン

  •   1 カシージャス
  • 17 アルベロア
  • 15 セルヒオ・ラモス
  •   3 ピケ
  • 18 アルバ
  • 16 ブスケツ
  •   6 イニエスタ
  •   8 シャビ
  • 11 ペドロ
  •   → 13 マタ (79′)
  •   9 トーレス
  •   → 4 ハビ・マルティネス (94′)
  • 21 ダビド・シルバ
  •   → 22 へスス・ナバス (53′)

イタリア

  •   1 ブッフォン
  • 15 バルザーリ
  •   → 18 モントリーヴォ (46′)
  • 19 ボヌッチ
  •   3 キエッリーニ
  •   2 マッジョ
  • 21 ピルロ
  • 16 デ・ロッシ
  • 22 ジャッケリーニ
  •   6 カンドレーヴァ
  •   8 マルキージオ
  •   → 7 アクイラーニ (79′)
  • 11 ジラルディーノ
  •   → 10 ジョビンコ (91′)

 イタリアがグループリーグ3試合で採用した4バックではなく欧州選手権の初戦で披露した3バックで臨んできました。ウイングバックに多大な運動量が求められるシステムですが、マッジョとジャッケリーニが献身的に走り続け数的優位を作ることでスペインを追い込んだため好きなシステムのひとつです。前線のメンバーは変わっていますがその試合の先発メンバーはこんな感じでした。

ESPITA EURO2012

FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Spain 0:0 a.e.t. 7:6 PSO Italy - MatchCast - FIFA.com

 試合は序盤からスペインがいつも通りボールをポゼッションして攻撃の機をうかがうも、イタリアが最終ライン5枚、その前に3、4枚かけてブロックを作りしっかりとスペースを潰して守ってきます。中盤で日本戦とブラジル戦では先発メンバーに入らなかったキエッリーニがしっかりと引いて、いいところでスペインの攻撃の起点を作らせないような動きをしていました。
 攻撃面でもボールを奪ったらウイングバックの上がりに合わせてワイドに展開し、そこからゴールを狙っていこうという流れがきっちりとできています。右サイドのカンドレーヴァとマッジョが2人ともあがって何度もいい崩しを見せてくれましたし、エリア内でプレーしたいジラルディーノに合わせて中盤の選手がドリブルで持ち上がる場面も多かったです。スペインのサイドバックも中央でのパスまわしに合わせてあがっていき攻撃参加をしたかったのでしょうが、守備に忙殺されてしまいなかなか高い位置をとれなかったのはイタリアの戦術がはまっていたと言えるでしょう。

 前半はスペインが相手陣地でまわしている時間は長いもののチャンスの数はイタリアの方が多く作れていましたが、ハーフタイムでイタリアのプランデッリ監督はデ・ロッシをバックラインに下げボランチにモントリーヴォを入れてきます。プランデッリとしてはスペインがかなり前から追いかけてくるようなプレッシングをしてきていたので、デ・ロッシに最終ラインでそれをかわしてビルドアップの起点になるような役割を期待したのかもしれません。イタリアとしても厳しいコンディションの中90分間トランジションサッカーを続けるわけにもいかないでしょうし。
 しかし、代わりに入ったモントリーヴォがやはり今大会イタリアのウイークポイントとなっている中盤での守備の甘さを抱えているために、スペインに入り込んでこられる隙をわざわざ作ってしまったような気もします。スペインは後半開始直後からボールまわしのエリアを前半より明らかに後ろで行い、マルキージオとカンドレーヴァをハーフウェーライン付近で食いつかせることによってその前のスペースをあけようと試みていましたし、53分には縦への突破力のあるヘスス・ナバスの投入によってバックラインを下げさせイタリアの守備ブロックを間延びさせようという狙いが明確に見られました。

ITAdefense

 右サイドはパスアンドゴーについていかない中盤の守備によってイニエスタが飛び出してくる形を許してしまい、左サイドではヘスス・ナバスのマークについたキエッリーニがサイドに流れたところまでケアしなければならないような状態とスペインが先制するのも時間の問題かと思われるような試合展開でしたが、スペインも途中から厳しい日程の影響からか目に見えて運動量が落ちてきて前線に人数をかけられなくなり、低い位置からロングボールを放り込むなどらしくない攻撃が続きます。
 イタリアも前半からいい崩しを見せていた右サイドからのクロスを何度も狙っていきますが、ダイレクトシュートを得意としているはずのジラルディーノに合わせることはできず両チームともに打開策を見いだせないまま120分が終了してしまいました。ハビ・マルティネスとジョビンコが両チームのセンターフォワードに入る試合なんてなかなか見られないのでそこはおもしろかったかもしれませんが。

 PK戦も両チームともに落ち着いたクオリティの高いキッカーを揃え見応えのあるものになりましたが、決勝にはスペインが進むことになりました。年間の試合数が増えナショナルチームの国際大会も短い期間で終わらせなければいけないので、中3日など厳しい日程で試合が続くのも仕方のない部分はありますが、もっといいコンディションで対戦することができればよりおもしろい試合が見れたのかなとも思ってしまいます。来年のW杯では気温が30度をこえ湿度も高い環境の中で大会期間中のペース配分ができるチーム力も鍵になってくるかもしれません。

27 6月, 2013

FIFAコンフェデレーションズカップ準決勝 ブラジルvsウルグアイ

 プレW杯という位置づけのコンフェデレーションズカップもグループリーグを終えて今日から準決勝です。最初のカードは開催国ブラジルと南米王者ウルグアイ。どちらもしっかりとしたチームの動きとレベルの高い個人技が共存した魅力的なチームなのでいい試合が見られそうです。
 試合前にはちょうど10年前の6月26日に試合中の心臓発作で亡くなったフォエへの黙祷が捧げられました。サッカーの試合中に突如倒れるというショッキングな事件で当時もかなり話題になりましたがもうあれから10年たつんですね。

BRAURU

ブラジル

  • 12 ジュリオ・セーザル
  •   2 ダニエウ・アウヴェス
  •   3 チアゴ・シウヴァ
  •   4 ダヴィド・ルイス
  •   6 マルセロ
  • 18 パウリーニョ
  • 17 グスタヴォ
  • 11 オスカル
  •   → 8 エルナネス (73′)
  • 19 フッキ
  •   → 20 ベルナルジ (64′)
  •   9 フレッジ
  • 10 ネイマール
  •   → 13 ダンテ (90+2′)

ウルグアイ

  •   1 ムスレラ
  • 16 マキシミリアーノ・ペレイラ
  •   2 ルガーノ
  •   3 ゴディン
  • 22 カセレス
  • 20 アルバロ・ゴンサレス
  •   → 5 ガルガノ (83′)
  • 17 エヒディオ・アレバロ
  •   7 ロドリゲス
  • 10 フォルラン
  • 21 カバーニ
  •   9 スアレス
  •  
  •  

 ブラジルはいつものと言っていい先発メンバー。イタリア戦では怪我の影響で欠場したパウリーニョも戻ってきました。ウルグアイは今大会途中から出場し好調のフォルランがこの試合も先発に入り3トップに近い形とナイジェリア戦と同じメンバーで挑みます。

FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Brazil 2:1 (1:0) Uruguay - FIFA.com

 両チームともに慎重な立ち上がりでしたがウルグアイのPKからは徐々にテンポがあがってきました。ブラジルはネイマールが中に入りボールを受け、そこから個人技を活かしたドリブル突破を中心とした攻撃。ウルグアイはしっかりと引いて中盤の3人がスペースを潰すことでその部分を許さず、ボールを奪ったら前線の3人に預けることで前への推進力を作っていこうという意図が見えました。

 相手のやり方を熟知しているチーム同士の対戦だからか仕掛けどころをしっかりと抑え、やらせない展開が続きますが先制したのはホームブラジル。ネイマールが中盤でプレッシャーを受け前を向けないところからパウリーニョに預けるとマキシミリアーノ・ペレイラを振り切ってディフェンスラインの裏まで抜け出し、ルガーノと2人背負った状態でしたがしっかりとボールをコントロールしてシュート。キーパーが弾いた所にフリーのフレッジがつめて得点しました。それまで激しいチェックを受けドリブルで仕掛けてもなかなかシュートまではいけなかったネイマールでしたが、前半41分という時間帯に今までと違うスピードでの崩しをしてくるあたりやはり素晴らしいですね。

 後半ゴール前の混戦からカバーニが同点とするとボールをポゼッションできているブラジルはいろいろな手でウルグアイの最終ラインを崩そうと模索してきます。ネイマールが中に絞ったりサイドに出たりするのはもちろん、右サイドで浮き気味だったフッキを代えてベルナルジを投入し起点を増やしたりパウリーニョ、グスタヴォがミドルシュートを狙ってみたりと仕掛けの数だけならば相当な数になりましたがウルグアイの守備ブロックが非常に固く同点の時間が長く続きます。

 決勝点はCKからパウリーニョのヘディングで決めたブラジルがあげ、ホームできっちりと決勝まで勝ち上がりました。ウルグアイはしっかりとした守備を見せてくれましたが前線の選手だけで得点がとれなかったために苦しい時間帯が長かったですね。やり方は違いましたがどちらが勝ってもすごくレベルの高い決勝戦になることは間違いないと確信できました。

23 6月, 2013

FIFAコンフェデレーションズカップ イタリアvsブラジル

ITABRA

イタリア

  •   1 ブッフォン
  • 20 アバーテ
  •   → 2 マッジョ(30')
  • 19 ボヌッチ
  •   3 キエッリーニ
  •   5 デ・シリオ
  • 18 モントリーヴォ
  •   → 22 ジャッケリーニ (26')
  •   7 アクイラーニ
  •   6 カンドレーヴァ
  •   8 マルキージオ
  • 23 ディアマンティ
  •   → 14 エル・シャーラウィ(72')
  •   9 バロテッリ

ブラジル

  • 12 ジュリオ・セーザル
  •   2 ダニエウ・アウヴェス
  •   3 チアゴ・シウヴァ
  •   4 ダヴィド・ルイス
  •   → 13 ダンテ (34′)
  •   6 マルセロ
  •   8 エルナネス
  • 17 グスタヴォ
  • 19 フッキ
  •   → 5 フェルナンド(76′)
  • 11 オスカル
  • 10 ネイマール
  •   → 20 ベルナルジ (69′)
  •   9 フレッジ

 イタリアはピルロが怪我ということで欠場。センターにモントリーヴォとアクイラーニというゲームのコントロールができる2人を、トップ下にはマルキージオを配置してきました。日本戦で緩かった中盤の守備は大丈夫なのでしょうか。ブラジルはこちらもパウリーニョが怪我でエルナネスが先発に入っています。

FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Italy 2:4 (0:1) Brazil - FIFA.com

 立ち上がりから積極的に出たのはこの試合もブラジル。イタリアはバロテッリを残して9人で守備ブロックを作る。ゴール前のところで防ぐ集中力はさすがだけど、ブラジルに引っ張りだされた後の置いていかれる感じは日本戦同様改善しなければいけないところなんじゃないでしょうか。
 怪我人による交代でプランが狂ってしまったのか当初から想定していた流れなのかかなり引いた時間帯が長く、このまま守りきるのかと思いはじめた前半ロスタイムでの失点。やっぱり厳しい試合ですね。

 後半も全体的にブラジルペースで余裕を持ってまわす時間帯が長く、イタリアの攻撃は単発で終わってしまうことが多かったですね。最後のカードとしてエル・シャーラウィを投入するも前を向いてボールを持たせてもらえず流れを変えることはできませんでした。

 結果的にはイタリアの選手が疲労と怪我でなかなか打開策を見いだせない中ブラジルの安定感と個人技が目立つ試合でした。B組の結果はまだですが1位通過してくるのは十中八九スペインじゃないかということで、準決勝でユーロ2012決勝カードの再現となります。スペインのここまでの試合を見ていても強いのはもう間違いないですがイタリアがどういう対策を持ってくるのか注目したい所です。

21 6月, 2013

FIFAコンフェデレーションズカップ スペインvsタヒチ

 初戦しっかりと守ってくるウルグアイを自分たちのポゼッションサッカーで打ち砕いた世界王者スペインと、初戦しっかりと守る姿勢を見せながらナイジェリアに完膚なきまでに打ち砕かれ、それでも1点をもぎとりその果敢にチャレンジする姿で世界中から拍手を浴びた国際大会初出場のタヒチ。誰が見ても一方的な虐殺にしかならないであろう試合の幕が今開かれます。

EPSTAH

スペイン

  • 23 レイナ
  •   5 アスピリクエタ
  • 15 セルヒオ・ラモス
  •   → 22 ヘスス・ナバス (46HT′)
  •   2 アルビオル
  • 19 モンレアル
  •   4 ハビ・マルティネス
  • 20 カソルラ
  •   → 6 イニエスタ (76′)
  • 21 ダビド・シルバ
  • 13 マタ
  •   →10セスク・ファブレガス(69′)
  •   9 トーレス
  •   7 ビジャ

タヒチ

  •   1 ロシュ
  • 16 アイタマイ
  •   4 ルディビオン
  • 10 バラル
  • 17 ジョナタン・テハウ
  • 12 ルメール
  •   → 20 ヤニク・ベロ (74′)
  •   3 ヴァイリュア
  •   7 ブールバル
  •   → 15 ロレンツォ・テハウ (69′)
  •   6
  • 13 チョンフェ
  •   2 アルバン・テハウ
  •   → 9 テアオヌイ・テハウ (53′)

 スペインはなんとウルグアイ戦からセンターバックのセルヒオ・ラモスを除く全先発メンバーを代えてきました。これはスペイン代表で長期政権を築き上げたデル・ボスケ監督がサブメンバーの層の厚さを世界に知らしめたい、そして来年のワールドカップに向けて新たな可能性を試したいというコンフェデレーションズカップならではの采配であり、決して格下相手のターンオーバーではないと確信しています。実際全員初戦では控えだったとは思えない実力者揃いですしね。
 一方のタヒチも大会前から3人で1試合ずつの出場と決めていたというGKをはじめ、ナイジェリア戦では先発でなかった名前も見られますが全くわからないので割愛します。

FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Spain 10:0 (4:0) Tahiti - FIFA.com

 ここ数年圧倒的な結果を残しているスペインやバルセロナのポゼッションサッカーに対して、様々な対戦相手が攻略を試みてきました。記憶に新しいところでは今シーズンのCLでバルセロナに大勝したバイエルン、昨年のEUROで一度はスペインに迫りつつも決勝で敗れたイタリア。少し前までさかのぼればモウリーニョ率いるインテルがエトーまで守備に動員し守りきったり、世界最高クラスの個々の能力を最大限に活かして数的優位を作らせなかったレアル・マドリードなど。時には勝利し、時には破れながら王者に挑んできた歴史は枚挙に暇がありません。
 そんな王者への挑戦権を得たタヒチはナイジェリア戦で見せた冒険的とも言える5バックをこの試合でも見せてきます。オフサイドのルール改訂により相手の攻撃に対して高いラインを保ち続けることがなかなか難しくなっている現在のサッカーにおいて非常に勇気のある選択と言っていいのじゃないでしょうか。さらに5バックで相手の前線に対してスペースをなくしてしまうことで単純に入れてくるボールに対しては自由にやらせないという意思を感じます。まあナイジェリア攻撃陣にズタズタにされてしまったバックラインですけども。

 とまあやっぱりタヒチの試合はネタに走ってしまうきらいがあるのですが、そろそろ飽きたので得点シーンのハイライトだけ書いて終わりにしようと思います。

  • 5分 トーレスが左サイドをマタとのワンツーで崩し、そのままペナルティエリアに侵入しニアサイドに丁寧に流し込むシュート
  • 31分 ビジャが左から横に切り込んできたところに後ろから走り込んできたダビド・シルバがスルーパスをもらい綺麗に裏をとってシュート
  • 33分  トーレスが一度落とした後に迷わず裏に飛び出してGKまでかわしてシュート
  • 39分 左サイドのスペースに抜けたダビド・シルバからビジャにパスが出てシュート。ゴール前で3人フリーになっていました。
  • 49分 ゴール前が混戦になっていたところから左サイドをオーバーラップしてきたモンレアルに出してクロスからビジャがシュート
  • 57分 今度は右サイドのヘスス・ナバスのオーバーラップから走り込んできたトーレスへクロスが出てシュート
  • 64分 低い位置から裏を狙ったロングボールにビジャが飛び出しキーパーのミスもあって無人のゴールにシュート。うなだれるロシュをトーレスが起こしてあげる優しい場面も。
  • 66分 ゴール前の狭いところをマタとダビド・シルバがワンツーで3人一気にかわしてシュート
  • 78分 低い位置からの縦パスをそのまま裏に抜けたトーレスが落ち着き払ってGKまでかわしてシュート
  • 89分 右サイドからのクロスにトーレスが打ちきれなかった所をダビド・シルバが拾い振り向きざまにシュート
  • FIFAコンフェデレーションズカップ ナイジェリアvsウルグアイ

    NGAURU

    ナイジェリア

    •   1 エニェアマ
    •   5 アンブローズ
    •   2 オボアボナ
    • 22 オメルオ
    •   3 エチエジレ
    •   4 オグ
    •   → 19 ムバ (66')
    • 10 ミケル
    • 13 オグデ
    • 20 オドゥアマディ
    •   → 15 オグデ (45')
    •   8 イディエ
    •   → 9 アクパラ (73')
    •   7 ムサ

    ウルグアイ

    •   1 ムスレラ
    •   3 ゴディン
    •   2 ルガーノ
    • 22 カセレス
    • 16 マキシミリアーノ・ペレイラ
    • 17 エヒディオ・アレバロ
    • 20 アルバロ・ゴンサレス
    •   7 ロドリゲス
    •   → 6 エルナンデス (88')
    • 10 フォルラン
    •   9 スアレス
    •   → 4 コアテス (83')
    • 21 カバーニ
    •  

     ウルグアイのフォルランが先発に入り、フォルラン、スアレス、カバーニという今シーズンの実績でいえば世界一の得点力を誇る攻撃陣がそろいました。

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Nigeria 1:2 (1:1) Uruguay - FIFA.com

     スペイン戦同様しっかりと引いて守り、ボールを奪うとはやいカウンターを狙っていくウルグアイ。その分ポゼッションはナイジェリアの方に分があり前線にボールを預けてからの崩しを仕掛けていきます。ウルグアイが先制したことでこの流れはさらに顕著になり、スペイン戦のように無理に前からいく必要がなくなったために少し試合が停滞する時間帯もありました。
     しかしミケルがゴール前でディフェンスを完全にかわして同点ゴール。それまで最終ラインの前で止めることができていたウルグアイですが、CKののセカンドボールからイディエにはやい縦パスが入るとディフェンスラインのギャップが生まれ崩されてしまいました。

     後半もナイジェリアが仕掛けどころを探しながらゴール前に入ってくるところからはじまりましたが、中盤の縦パスを奪ってからスアレスが運びカバーニ、フォルランとシンプルにまわしてウルグアイが再びリード。前がかりになっていたナイジェリアの虚を付き10秒ほどでゴールまで持っていく狙い通りの形でした。
     その後もウルグアイはしっかりと守りシンプルな攻撃というのを徹底していました。ナイジェリアのオーバーラップに対してはカバーニ、フォルランも下がってついていき、ボールをとってからは縦か再度に開いた選手に大きくボールを動かしてナイジェリアにはやいプレスを許さないというチームの動きが全員でできていたために安定した試合運びができていたと思います。ナイジェリアも個々の場面では身体能力を発揮して勝っていたのですが、狭い所でのボールタッチがなかなか収まらず攻撃の最後の所までつなぐのは難しかったですね。

     両チームともにに自分たちの色が出た試合でしたがチーム全体できっちりとはめてきたウルグアイの方が1枚上手だった印象。長く熟成してきたチームだけあって安定感が違います。ウルグアイは直接対決に勝ったことで決勝トーナメント進出に向けて1歩リードし次節世界中の注目を浴びているタヒチと、ナイジェリアは王者スペインとの対戦になります。

    20 6月, 2013

    FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジルvsメキシコ

    BRAMEX

    ブラジル

    • 12 ジュリオ・セザール
    •   2 ダニエウ・アウヴェス
    •   3 チアゴ・シウバ
    •   4 ダヴィド・ルイス
    •   6 マルセロ
    • 17 ルイス・グスタヴォ
    • 18 パウリーニョ
    • 11 オスカル
    •   → 8 エルナネス (62')
    • 19 フッキ
    •   → 7 ルーカス (78')
    •   9 フレッジ
    •   → 21 ジョー (82')
    • 10 ネイマール

    メキシコ

    • 12 コロナ
    • 21 ミエル
    •   2 ロドリゲス
    • 15 モレノ
    • 20 トーレス・ニロ
    •   → 7 バレーラ (70′)
    • 22 フローレス
    •   → 16 エレーラ (58′)
    •   3 サルシド
    •   6 トラード
    •   → 19 ヒメネス (88′)
    • 18 グアルダード
    • 10 ドス・サントス
    • 14 エルナンデス

     FIFAの予想フォーメーションによるとブラジルはメンバーは変わっていないものの4-3-3に近い形。メキシコはイタリア戦から両サイドバックを変更してきました。

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Brazil 2:0 (1:0) Mexico - FIFA.com

     序盤は慎重に入ったメキシコと対照的に激しくいったブラジルが主導権を握ります。中盤の選手やダニエウ・アウヴェスが積極的に攻め上がっていくため厚みのある攻撃ができシュートで終える回数も多かったですね。メキシコも少人数でのカウンターではなくしっかりとポゼッションをしてサイドからの攻撃を狙うもブラジルゴールを割るまでには至らず、9分にネイマールのボレーで先制したブラジルが1点リードで前半を終えます。

     後半も中盤で数的優位を作りそこからワイドに展開していったメキシコですが、ブラジルもネイマールやフッキがフレッジを追い越していく形で多くのチャンスを作っていきます。さらに後半15分頃からは両チームとも徐々に運動量が落ちてブラジルはルイス・グスタヴォ、メキシコはトラードを残してあまりコンパクトな距離を保てなくなってきました。ここからはバックラインからあまり効果的とはいえないロングボールを放り込む時間帯もありましたが、前線は個人技を中心としたカウンターが主な攻撃となり、ドリブル突破でかなり見せ場を作ってくれました。特に途中出場のエルナネスやバレーラは積極的に勝負を仕掛け相手のバックラインを崩す起点となるなど試合を動かす役割を十分に果たしていたんじゃないでしょうか。

     最後にネイマールが大きなサイドステップからディフェンス2人の間を抜いてから追加点で2-0として連勝。2試合を終えて2得点2アシストとはやくも大会の主役を決めてしまいそうな勢いです。メキシコはチャンスは作れていたものの無得点という結果に終わりましたが、スペースのある場面での攻撃はかなりの勢いがあり自分たちのペースを保てていただけにこのままグループリーグで敗退してしまうのはもったいないチームですね。

    19 6月, 2013

    FIFAコンフェデレーションズカップ タヒチvsナイジェリア

     各大陸王者が集う今大会1番「え?」という印象で語られることが多いタヒチ代表。OFCネイションズカップでを勝ち抜いて出場している立派な大陸王者なのです。まあそれもオーストラリアがAFCに移籍した後ひとり勝ちを続けていたニュージーランドをニューカレドニアが破り、そのニューカレドニアに決勝で勝った微妙に棚ぼた感のある優勝だったのですが。
     ユニフォームキットが以前の映像で見たアディダスからナイキに華麗なる契約変更を行っていたり、選手入場の際に全員がタヒチの伝統工芸品っぽい首飾りをつけ、さらにナイジェリアの選手と握手する際にそれをプレゼントするサービス精神を見せるなど試合前から期待は高まる一方でした。まあ肝心のサッカーについては正直誰も試合を見たことがないばかりかヴァイリュア以外の選手知らない感じなんですけどね。というか僕はヴァイリュアがいまフランスではなくギリシアでプレーしてることすら知りませんでした。

    TAHNGA

    タヒチ

    • 23 サミン
    •   7 ブールバル
    • 10 バラル
    •   → 8 ファーティアラウ(54′)
    •   4 ルディビオン
    • 17 ジョナタン・テハウ
    • 19 シモン
    •   → 12 ルメール (77′)
    •   3 ヴァイリュア
    •   → 11 アタニ (69′)
    •   6 カロワヌ
    • 16 アイタマイ
    • 13 チョンフェ
    •   2 アルバン・テハウ

    ナイジェリア

    •   1 エニェアマ
    •   5 アンブローズ
    •   2 オボアボナ
    • 22 オメルオ
    •   → 6 エグウェクウェ (74′)
    •   3 エチエジレ
    • 13 オグデ
    • 10 ミケル
    •   7 ムサ
    • 19 ムバ
    •   → 4 オビオラ (55′)
    • 20 オドゥアマディ
    • 14 ウジャ
    •   → 8 イディエ (52′)

     最近は日本代表もヨーロッパでプレーする選手が増え、海外組なんていう表現もあまり聞かなくなりましたがやはりこのメンバーと比べると豪華と言わざるを得ません。ナイジェリアもプレミアなどで活躍している選手ばかりというわけではないということで、海外組と国内2部リーグの選手だけで構成される日本代表はやっぱりすごいですね。

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Tahiti 1:6 (0:3) Nigeria - FIFA.com

     タヒチはこの絶望的な戦力差を考えてかもはや国際大会では絶滅したと考えられていた純粋な5バックで望んできました。5バックが主流となれなかったのはその堅守と引き換えに攻撃参加できる選手が少なくなってしまうこと、サッカーの進歩によって流動的な動きが増え最終ラインで守るだけでは守備ブロックを崩されてしまうことが挙げられると思うのですが、そのデメリットを甘受してもゴール前を守りきるというタヒチの決意のあらわれでしょう。
     さらに驚いたのが先発メンバーの配置です。全く知名度のない選手とはいえFIFAの国際大会です。各国メディアは事前に主要メンバーの経歴を調べ、どんなプレーをするのかリサーチしてから試合の記事を書いていたはず。なのに試合が始まってみるとその情報とは全く違うポジションで選手がプレーしているじゃないですか。「そもそもヴァイリュアってフォワードじゃなかったっけ?」「17番のテハウもフォワード登録なのに最終ラインにいるんだけど」「トップにいるテハウって違うの? 2番だけどワントップだよ。え? あれ17番のテハウの兄弟? しかももう1人いるのかよ」などと混乱を誘ってきました。
     ただ考えてもみてください。現代サッカーではひとりの選手が複数のタスクを要求されるのは当然のこと。守備をしないフォワードは監督の悩みの種になりますし、センターバックにはパスでビルドアップする能力が、サイドバックには攻撃と守備の両面でボールに絡める運動量が不可欠なのです。さらにチーム事情によっては不本意でも本来とは違うポジションで起用されることも珍しくありません。日本代表ではハイタワーとして前線で待っていればいいハーフナー・マイクはフィテッセではサイドの組み立てをしているそうですしあの不器用な長谷部がサイドバックで使われたりもするのです。能力の高い選手はどこで起用されても結果を出せるということでしょう。決して監督が守備重視だからってうまい順に後ろから並べていったわけではないことを願います。

     そんなタヒチに対してナイジェリアもスポーツマンシップで応えます。通常どん引きした相手にはミドルシュートを狙っていくかサイドから揺さぶりをかけるのが定石でしょう。しかしナイジェリアの選手たちはそんな小手先で勝つことをよしとせず、序盤から縦パスを放り込んであとは前線の選手の個人技で打開するという男らしい戦術をとってきたのです。国中の期待を背負っているのは彼らも同じ。この大会で世界に見せることによって経験を得てよりよい環境でサッカーができるようになるのもナイジェリアとて同じなのです。各国のスカウトの目に留まれば今シーズンでのビッグクラブ移籍も夢ではないだけに大事な就活の場でもある分ナイジェリアの方が真剣かもしれません。そう易々とぽっと出の島国に成長著しい新興国の座を渡す訳にはいかないですしね。
     というわけで内容としてはまるで90年代のようなサッカーをやり始めたナイジェリアですが、さすがのアフリカンパワーでタヒチの守備ブロックを突破してしまいました。突破されたのはタヒチだけでなくタヒチの最終ラインと共に上下を繰り返す副審も同じ。短距離走の選手並みのスプリント力を誇り、オフサイドなんて知るかというタイミングで飛び出してくるナイジェリアの選手に対して時には毅然と旗を上げ、時には完全に遅れて見逃してしまったりとこちらも大変そうでした。

     国際大会初得点という歓喜の瞬間はあったもののナイジェリアにフルボッコにされ、英雄ヴァイリュアも世界との差を感じたのか複雑な表情を浮かべていました。まるでブラジル戦の後の本田のようです。しかし、ナイジェリアがスーパーイーグルスと呼ばれヨーロッパのトップリーグにどんどん選手を送り込むようになったのもここ20年の話。20年もたてばワールドカップに出たこともなかった日本がアジアの盟主面してベスト4だ!みたいなことも言い出しちゃうくらいなので、タヒチのサッカーもこの大会を機に実力、人気両面で向上していけるといいですね。系図をがんばればフランス国籍ということでEU枠になれる選手も多そうですし。

    18 6月, 2013

    FIFAコンフェデレーションズカップ スペインvsウルグアイ

     ワールドカップの前回王者として、さらには昨年のヨーロッパ選手権優勝まで引っさげて文句のつけようのない無敵艦隊スペインと前線にタレントを揃え破壊力のあるワイドなカウンターで南米王者となったウルグアイの対戦。日本が誇るプロフェッショナルレフェリーとして国際大会の常連となっている西村主審にも注目していきたいです。

    SPAURU

    スペイン

    •   1 カシージャス
    • 17 アルベロア
    •   3 ピケ
    • 15 セルヒオ・ラモス
    • 18 アルバ
    • 16 ブスケツ
    • 10 セスク・ファブレガス
    •   → 20 カソルラ (65′)
    •   8 シャビ
    •   → 4 ハビ・マルティネス (77′)
    • 11 ペドロ
    •   → 13 マタ (81′)
    • 14 ソルダード
    •   6 イニエスタ

    ウルグアイ

    •   1 ムスレラ
    • 16 マキシミリアーノ・ペレイラ
    •   2 ルガーノ
    •   3 ゴディン
    • 22 カセレス
    • 15 ディエゴ・ペレス
    •   →10 フォルラン (69′)
    •   5 ガルガノ
    •   →14 ロデイロ (63′)
    • 18 ラミレス
    •   →20 ゴンサレス (46′)
    •   7 ロドリゲス
    • 21 カバーニ
    •   9 スアレス

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Spain 2:1 (2:0) Uruguay - FIFA.com

     試合は序盤からスペインがボールを保持して崩していくチャンスをうかがい、ウルグアイがしっかりと引いてからのカウンターを狙うという両チームともに前評判通りの展開。どちらもこのチームを長く熟成してきただけあって完成度が高く緊張感のある時間帯が続きます。
     少し不運な形で先制されたウルグアイはそれまでのしっかりと引いて守る形から積極的に前から守備に行きますがなかなかフィニッシュまではいけず。敵陣でボールを持った時の怖さはさすがでしたがスペインの守備を崩すのは難しくチャンスは主に個人のキープ力によって得たフリーキックからでした。

     2点目はスペインとしては珍しい数的不利な場面でカウンターを仕掛けてのゴールでした。まだ前半ですしあの場面ではボールをキープしつつ人数が揃うのを待つことが多いと思うのですが、セスク・ファブレガスは気にせずドリブルで切り込みセンターバックが食いついてきた裏を狙うという惚れ惚れするようなプレーでしたね。セスクについてきていたはずのカセレスが、後ろから追い越してきたイニエスタのサイドをケアしようとした逆をついたところも素晴らしいです。

     2点ビハインドで相手にボールを持たせてカウンターというゲームプランが崩れてしまったウルグアイはハーフタイムで選手を交代しワイドに展開しようとするも2点のリードで無理に前に人数をかける必要のなくなったスペイン相手に逆転までいくのは難しく、フリーキックで1点かえしただけで終わってしまいました。
     これだけの安定感と選手層のあるスペインがナイジェリア、タヒチ相手に取りこぼしをするとは考えづらく、盤石のままコンフェデレーションズカップまで攫っていくのか。はたまた決勝トーナメントでA組を勝ち上がったチームが無敵艦隊を沈めるのか。短い大会ですが楽しみは尽きませんね。

    17 6月, 2013

    FIFAコンフェデレーションズカップ メキシコvsイタリア

     日本がブラジルに力の差を見せつけられた試合から1日、同じグループのもう一試合メキシコ対イタリアも行われました。正直ワールドカップの本戦でこんなグループに入ったらたまったものではないのですが大陸王者の集う大会ということでかなりレベルの高いチームが揃っています。

    MEXITA

    メキシコ

    • 12 コロナ
    • 22 フローレス
    •   2 ロドリゲス
    • 15 モレノ
    •   3 サルシド
    • 17 サバラ
    •   → 19 ヒメネス (86′)
    •   6 トラード
    • 11 アキノ
    •   → 21 ミエル (53′)
    • 10 ドス・サントス
    • 18 グアルダード
    • 14 エルナンデス
    •  

    イタリア

    •   1 ブッフォン
    • 20 アバーテ
    •   3 キエッリーニ
    • 15 バルザーリ
    •   5 デ・シリオ
    • 16 デ・ロッシ
    • 21 ピルロ
    • 18 モントリーヴォ
    •   8 マルキージオ
    •   → 17 チェルチ (68′)
    • 22 ジャッケリーニ
    •   → 7 アクイラーニ (88′)
    •   9 バロテッリ
    •   → 11 ジラルディーノ (86′)

     メキシコはエルナンデスをトップにロンドンオリンピックで金メダルをとったドス・サントスが中心。 イタリアは4バックでこちらも若手のデ・シリオを先発に使ってきました。

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Mexico 1:2 (1:1) Italy - MatchCast - FIFA.com

     イタリアは昨年のEURO2012で準優勝したときのような3バックを基本にしているのかと思いきや、アバーテとデ・シリオというミランの両サイドバックを起用した4枚でラインを構成してきました。予想フォーメーションの図だけ見るとミランが06-07シーズンあたりで採用していたクリスマスツリーにもよく似ています。レジスタのピルロが中盤の底、その両脇にハードワークのできる選手を配置しスペースを潰していくという手法はユヴェントスでもやってますが、バロテッリが純粋なワントップとして入ることでターゲットにもなりますし様々な形で攻めることができそうです。
     さらに4バックにしたことでサイドバックが攻撃参加した際にデ・ロッシが常に低い位置に残っていた3バックに比べより前の人数を増やせる形と言えるでしょう。先発の所属クラブを見てもうち6人がユヴェントス、4人がミランという選出になっていて、戦術としても両クラブのいいとこ取りのようなサッカーを志向しているんじゃないでしょうか。

    EURO2012
    EURO2012
    confeds2013
    コンフェデレーションズカップ2013

     

     ただこの形にまだ選手自身が慣れていない部分も多いようで、特にセンターバックのキエッリーニとバルザーリは2人で中央をカバーするにはポジショニングに難があるように見えました。特にメキシコの前線が斜めに入り込んでギャップをついてくる動きに長けていたために、片方が前に出た時にこのスペースのカバーが遅れがちになってしまったのは少し不安が残ります。ボールと反対のサイドバックが絞って擬似的に3バックのような形を作るか、デ・ロッシが最終ラインに入るとかなり安定していたのですが。
     また、厳しく見れば中盤での守備に関しても少し甘い部分があったのという印象も拭えません。攻守両面で消えがちだったマルキージオはもっとボールホルダーに対して素早いチェックが必要ですし、ピルロはカバーするエリアがはっきりせずに飛び込んでこられる場面があいかわらずありました。

     戦術的にはまだ改善の余地があるのは事実ですが、ピルロのフリーキックとバロテッリのフィジカルで勝ちきってしまうところはさすがですしメキシコが前からボールに食いついてきたところをいとも簡単にかわして前線にボールを供給し続けるクオリティの高い中盤であることは間違いありません。まだグループリーグの初戦ということで次の日本戦やその先の試合ではさらにおもしろい試合を見せてくれるんじゃないかと期待が高まりました。

    16 6月, 2013

    FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジルvs日本

     ブラジルワールドカップの最終予選も無事1位通過を決め、まさに国中がわいている日本代表。1年後のワールドカップに向けワールドカップと同じ会場でワールドカップで対戦するであろう相手と勝負できるいい機会であるコンフェデレーションズカップに挑みます。
     イラク戦から長距離移動を含む中3日での試合ということでコンディション的には厳しそうですがせっかく最終予選の日程をこの大会のために考慮してもらったということもありますし何かしらの収穫を持ってかえりたいところです。

    BRAJPN

    ブラジル

    • 12 ジュリオ・セーザル
    •   2 ダニエウ・アウヴェス
    •   3 チアゴ・シウヴァ
    •   4 ダヴィド・ルイス
    •   6 マルセロ
    • 18 パウリーニョ
    • 17 ルイス・グスタヴォ
    • 19 フッキ
    •   → 8 エルナネス (75′)
    • 11 オスカル
    • 10 ネイマール
    •   → 7 ルーカス (74′)
    •   9 フレッジ
    •   → 21 ジョー (81′)

    日本

    •   1 川島永嗣
    •   6 内田篤人
    • 22 吉田麻也
    • 15 今野泰幸
    •   5 長友佑都
    • 17 長谷部誠
    •   7 遠藤保仁
    •   → 13 細貝萌 (78′)
    •   9 岡崎慎司
    • 10 香川真司
    •   8 清武弘嗣
    •   → 18 前田遼一 (51′)
    •   4 本田圭佑
    •   → 19 乾貴士 (89′)

     日本は前田やハーフナー・マイクではなく本田をトップに入れてきました。ブラジルの方は最近の親善試合と同じメンバーです。

    FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Brazil 3:0 (1:0) Japan - MatchCast - FIFA.com

     試合前の速報では4-2-3-1の本田1トップでしたが、試合がはじまってみるといきなり岡崎が前線からプレスに走って本田は少し引いたような位置。いきなり前線にボールを当てるのが難しいからか本田がバックラインより手前でボールをもらいにいくような形で望んでいました。
     そんな試合開始早々にマルセロからのはやいクロスをフレッジが胸で落としてネイマールの素晴らしいボレーシュートでブラジルが先制。アジアではあり得ない素晴らしいゴールでしたね。マルセロのクロスもとんでもないスピードでほんとにパスかよっていうボールでしたが、それをきちんとコントロールするフレッジの安定感と迷いなく振り抜いてきっちりと抑えたシュートにしたネイマールもさすがです。というかこれをやってのけるのが世界トップレベルなのでしょうか。

     ただ日本も一方的にやられていたというわけではなく、お互いが前から仕掛けていった時間帯ではうまくブラジルのプレスをかいくぐって前を向ける場面も多くできました。香川のファーストタッチと前を向く速さがアタッキングサードだけでなく中盤でも活かせればそのままスピードのあるカウンターに持っていけるのでここで勝負できるのは好材料だと思います。
     もう1つ同じような場面で気になったのが中盤でのプレスに対してもう少しパスでも対抗できたんじゃないかというところ。ブラジルのプレスがお世辞にも洗練されていて穴がないとは言えないものだっただけに序盤で見られたような遠藤からの縦パスや展開がもっと積極的に出れば攻撃につなげられたんじゃないでしょうか。

    JPNcenter

     それとこれらのビルドアップの起点として内田がよく絡んでいたのも印象的でした。ブラジルのエースネイマールを1対1で抑えきったことですごく評価されていますが、ボールを奪ってからも落ち着いて攻めにつなげていたと思います。守備のタスクが多かったために攻撃参加の機会が限られてしまったことと、ブラジルの守備がサイドでは完全に縦を切る方向だったのでなかなかタッチライン際でいい仕事はできませんでしたがそれ以外は安心して見ていられる選手となっていました。
     ただボランチや中盤の選手がなかなかいい形でボールを受けられなかったのは残念でした。普段サイドバックの近くでボールをもらって展開する遠藤は判断が遅いためにプレッシャーを受けて戻してしまうことが多く、長谷部は運動量不足で顔を出せずにパスコースにすらなれていない状態。本田と香川が低い位置でしか受けられなかったのもボランチから前線につながるボールがなかったからですし、もう少し吉田からもトップまで当てるボールが出てもおもしろかったかもしれません。

     というわけで中盤からの攻めに関してだけでも通用するところ、改善するところが多くわかったブラジル戦。スコアは残念でしたが1年後につながる収穫という意味ではこの1試合だけでも大きかったのではないでしょうか。これからイタリア、メキシコとブラジルに劣らない強豪国との試合が続きますがいろいろテストする絶好の機会を存分に使っていってほしいです。