29 10月, 2012

セリエA第8節 ラツィオvsミラン

 前節のダービー敗戦、7節終了時点で勝点がまだ7と苦しいシーズンが続いています。一方ラツィオは今シーズンから指揮を執るペトコヴィッチ監督の評価も高く3位と好調ですが、ここ数試合はいい内容でこれているだけにこういう相手に勝利して浮上のきっかけとしたいところです。

08lazio

  •   1 アメーリア
  • 20 アバーテ
  • 25 ボネーラ
  • 76 ジェペス
  • 77 アントニーニ → 22 ボージャン・クルキッチ (85′)
  • 18 モントリーヴォ
  • 34 デ・ヨング
  •   8 ノチェリーノ → 9 パト (51′)
  • 10 ボアテング → 28 エマヌエルソン (46′)
  • 92 エル・シャーラウィ
  • 11 パッツィーニ
 先発に今シーズンはじめてアメーリアが入り、インテル戦での4-2-3-1から再び4-3-1-2に戻した形になっています。またこの試合のキャプテンマークはボネーラが巻いていました。

ミランの低迷続く ラツィオに屈して今季5敗目 - Goal.com

 試合序盤はミランが支配するも、徐々にラツィオが前線でボールをキープできるようになるとエルナレスを中心にサイドからの攻めが機能してきます。ミランは中盤でパスを回せないためにロングボールが多くなりエル・シャーラウィとパッツィーニの個人に頼る攻撃になってしまいました。2トップやボアテングの個人技で崩せる相手ならいいのですが、ラツィオの守備陣もしっかりとマンマーク気味についてきていたために攻め手がないというのが正直なところでしょうか。
 後半からはボアテングに代えてエマヌエルソンが入ったことで中盤でボールが落ち着き、前線まで無理せず運べるようになりました。デ・ヨングと共に地味ながらかなり試合をつくれるところをここ数試合見せてくれてます。前線への飛び出しや攻撃力ではボアテングも魅力がありますがこの試合では活きていませんでしたね。さらにノチェリーノに代わってパトが入り前に人数をかけられるようになってきてからはかなりミランペースが続いていたと思います。

 後半途中からは2得点の追い上げを見せたもののそれまでの3失点が響きまたしても勝てないゲームでした。問題点は多々ありますが重要なところでは主にパッツィーニのキープ力不足と守備陣の寄せの甘さに集約されると思います。前者に関しては、前半のような攻撃を続けるのならばどうしても昨シーズンのイブラのような存在感のあるFWが不可欠でしょう。つまりその力がなければ前線に放り込んで形を作ることができないわけで、実際ハーフタイムでのボアテングの交代はそこを意図したものに見えました。
 守備の問題点はこの試合に限ったものではないので早急に改善して欲しいところですがDFラインの入れ替わりの多い今の状況では難しいかもしれません。ジェペスは相変わらず安定していますがメクセス、アチェルビのコンディションが気になるところですね。CLや代表招集などハードスケジュールは続きますが、クオリティを落とさずにうまく入れ替えてほしいです。

10 10月, 2012

セリエA第7節 ミランvsインテル

 そのときのチーム状況がどうであっても、順位がどれだけ離れていても、インテルにだけは負けちゃいけない。たとえスクデットをとったとしてもインテルに2敗を喫していたらなんとなく釈然としない気持ちが残ってしまう。それがダービーだと思います。ミラニスタは宗教なので。
 というわけで決していいとは言えない状態での今シーズン最初のダービーですが、インテルの方もスタートダッシュに失敗しお互いサン・シーロの呪いなんて言われているのでここで弾みをつけたいところ。


07inter

  • 32 アッビアーティ
  • 25 ボネーラ → 20 アバーテ (50′)
  •   5 メクセス
  • 76 ジェペス
  •   2 デ・シリオ → 7 ロビーニョ (57′)
  • 18 モントリーヴォ
  • 34 デ・ヨング
  • 28 エマヌエルソン
  • 10 ボアテング
  • 92 エル・シャーラウィ → 11 パッツィーニ (71′)
  • 22 ボージャン・クルキッチ
 ガッリアーニの要望を受け入れたのかいままでとは違うモントリーヴォとデ・ヨングのダブルボランチ、エマヌエルソンが右サイド、エル・シャーラウィが左に張る形の4-2-3-1になっています。インテルは試合前の予想フォーメーションではサネッティが右で長友が左となっていましたが実際は逆、前線はミリートが中央に残りコウチーニョとカッサーノはわりと自由に動いていました。

長友退場のインテル、数的不利もダービーを制す - Goal.com

 開始直後、お互いジャブで様子を見るような時間帯にフリーキックからいきなりの失点。デ・シリオがつききれていなかった結果になりましたが今シーズンはセットプレイからの失点が多いだけにしっかり対策が出来ていない証拠。ただその後はデ・ヨングとモントリーヴォをはじめとして後方からのボールがうまく収まるようになってミランのペースに。前半30分頃何度か攻められていた以外は単発でのカウンターに終始していたインテルをうまく抑えていました。特に高い位置とバイタル付近の両方で両ボランチの寄せがかなり効いていたように思います。
 攻撃に関してはサイドに開いた2人がキープしてからの中央に入ってきた選手との絡み、ボージャンが大きく動いての引き出す動きなどいいパターンがいくつもうまれてきていました。気になった点とすれば右サイドで身体が開いた状態でボールを持つことが多かったためか、エマヌエルソンがサイドに張り付いていたためボネーラの上がるスペースがなくなってしまっていたシーンが少し多かったくらいでしょうか。サイドでポゼッションをしていくにあたってサイドバックの上がりは不可欠だと思うので今後どう改善していくか期待したいところです。

 後半に入ってまずインテルがコウチーニョに代えてグアリン。前半ミリートとカッサーノがほとんど守備をしないことでコウチーニョひとりに負担がかかって攻めどころではなくなっていたのでフレッシュな選手をということでしょうか。コウチーニョも自分でボール持ってリズムを作りたい選手という印象があったのでインテルがポゼッションできない状態ではあまり活きていませんでしたしね。そして長友が2枚目のイエローカードで退場。これに関してはボネーラもなかったというコメントをしているそうですが、全体的にとったファールに関して厳しくいきたい感じだったのでカードも乱発しますよね。ファールをとる基準が曖昧だったのが理解しがたいところですけど。

07inter2nd  10人になったことでインテルはサネッティを右サイドにあてる4バック気味に移行。ミランはサイドの上がりを増やすためにエマヌエルソンを左サイドに代えてロビーニョを投入。これによって前線でポゼッションする選手とアイデアが増えてさらにミランペースになっていきます。イブラがいなくなってから違いを作れる選手がいないと言われていましたが、やはりロビーニョが入ると攻撃のリズムができますね。

 結果的に7人で守備のエリアをがっちりと固めたインテルゴールを割れず敗戦を喫しましたが今後につながるいい材料は多く見られた試合でした。まずボージャンが運動量も多くボールを回せる選手だということ。バルサ出身であることを考えればああいうプレーはもちろん得意なのでしょうが、ミランの中でそれが発揮できていることがいいですね。パッツーニが最前線で左右に動いてボールを当てられる選手だとすればボージャンは上下の運動でボールをき出せる選手でしょうか。ロビーニョ、パッツィーニとの連携もよくなってきているのでこれからさらに活きてくるんじゃないでしょうか。
 もう1つは今のメンバーでエマヌエルソンのユーティリティ性とポゼッションをうまく使えていること。昨シーズンまでは自分が前線でボールを持って作って行く場面があまりなかったのですがこの試合においては両サイドできるという意味でも主役となっていたと思います。さらに意外だったのがモントリーヴォの強烈なミドルシュート。フィオレンティーナでは中々見られなかったプレーがこの試合においてはこれでもかというくらい打ちまくっていました。攻撃のバリエーションが増えたことはチームにとって本当に喜ぶべきことだと思います。

 シーズン開幕当初に比べればチームとしての形も出来てきて個々の選手も特徴を出せるようになってきました。パトの復帰も近いようで長いシーズンを考えればこの試合が転機になるのかもしれません。ただサッカーは点を多く入れた方が勝つゲーム、さらに冒頭にも書いたようにダービーは絶対に負けたくないんです。試合後はしばらく悔しさから放心してしまいました。また個々の対人守備に優れた強豪に引きこもられた場合に点が取れなくなってしまうとこの先も厳しい戦いが多くなると思いますし、多少の強引さがあっても前線の選手には得点が欲しいところです。