14 6月, 2014

FIFAW杯 スペインvsオランダ

 前日に行われた開幕戦の余韻も冷めやらぬ中、グループステージの初戦で前回大会決勝の組み合わせです。

スペイン

    GK
  •   1 カシージャス
  • DF
  • 22 アスピリクエタ
  •   3 ピケ
  • 15 セルヒオ・ラモス
  • 18 ジョルディ・アルバ
  • MF
  • 16 ブスケツ
  • 14 シャビ・アロンソ → 11 ペドロ (62')
  • 21 ダビド・シルバ → 10 セスク・ファブレガス (78')
  •   8 シャビ
  •   6 イニエスタ
  • FW
  • 19 ディエゴ・コスタ → 9 トーレス (62')

オランダ

    GK
  •   1 シレッセン
  • DF
  •   3 デ・フライ → 13 フェルトマン (77')
  •   2 フラール
  •   4 マルティンス・インディ
  • DF
  •   7 ヤンマート
  •   8 ジョナサン・デ・グズマン → 20 ワイナルドゥム (62')
  •   6 デ・ヨング
  •   5 ブリント
  • FW
  •   9 ファン・ペルシー → 17 レンス (79')
  • 10 スナイデル
  • 11 ロッベン

 スペインは今シーズンアトレティコ・マドリードで大活躍を見せたディエゴ・コスタをセンターハーフに置く4-3-3の形。2010年のワールドカップ、2012年のユーロで優勝したものの説得力のあるストライカーがいなかったこのチームにフィットすることはできるのでしょうか。
 オランダは3バックの前に4枚並べる形の3-4-3。スペインの攻撃に対して前線の3人まで含めてどのような守備ブロックを作ってくるか注目です。

2014 FIFA World Cup Brazil™: Spain-Netherlands - Overview - FIFA.com

 オランダは3バック試合前の予想通り7枚でバイタルエリアを埋めていく狙い。ただ単純にウイングバックを下げて5-2ではなく、近くにいる選手に対してはエリアをまたいでついていってボールが入るとかなり厳しくアタックしていました。特にイニエスタのポジションチェンジに対してはデ・フライをはじめ常に誰かがチェックして前を向かせない意図が感じられます。さらにファン・ペルシーやスナイデルもスペインのDFがオーバーラップした際にしっかりとついてきているためにさらにスペースがなくなっていく悪循環。
 ただ中盤で潰すために最終ラインはかなり高めに保っており、ここでディエゴ・コスタの裏を狙う動きが有効に働いてきます。先制点につながったPKもDFラインの間を斜めに切った形でオランダの目論見を崩す形になりました。

 先制されて前に出ざるを得なくなったことでオランダは序盤ほどコンパクトな陣形を作れなくなり、さらにスペインのペースに。ロングカウンターでシュートまでもっていくスペインを見るのはわりと珍しい気もします。ただその流れを断ち切ったのがファン・ペルシーのヘディングシュートでした。スペインの守備もオランダのビルドアップに対する人数は揃っていたのですが、セルヒオ・ラモスが完全においていかれてしまいカシージャスのポジションまで見切った完璧なゴールです。
 ファン・ペルシーのすごさもさることながら、動き出しを見逃さずにクロスをあげたブリントもすごいです。センターライン付近でも簡単に蹴らせてはいけないということでスペインはより早いプレッシャーが必要になってきます。

 ただそのプレスをさらに上回ったブリントは53分にも低い位置からのロングボールでロッベンの追加点をアシスト。FWの動き出しを見ながらダイレクトであんなボールが出せるとか脅威以外の何者でもありませんね。もちろんきっちりトラップして2人かわしてゴールに叩き込んだロッベンの得点能力は言うに及ばず、中盤からの守備にリソースを割いても個人でこれだけ持っていければ十分です。
 スペインもペドロとトーレスと投入し前線の動きの活性化を図りますがオランダのバイタルエリアは閉じられたまま。サイドから放り込むという選択肢を持たないスペインは徐々に手詰まり感が出てきてしまい逆に5失点という最悪の展開になってしまいました。

 オランダは90分を通してイニエスタをはじめスペインのポジションチェンジに対してかなり研究して対策をしてきた印象です。ポゼッションサッカー対策は各チームが近年様々な形で行っていますが、この試合のオランダもその集大成と言えるのかもしれません。もちろん前線に個の力で点の取れる選手とそこに正確なボールを出せる選手がいてこそのスピードに乗ったロングカウンターなのですが、その狙いがうまくはまったオランダが初戦を大勝で飾りました。

13 6月, 2014

FIFAW杯 ブラジルvsクロアチア

 サッカー王国ブラジルで開催される4年に1度の祭典FIFAワールドカップ。普段はクラブ中心であまりナショナルチームの試合を見ることはないのですが、やはり世界最大のスポーツイベント、1カ月間がんばって早起きして見てしまう生活になりそうです。

ブラジル

    GK
  • 12 ジュリオ・セーザル
  • DF
  •   2 ダニ・アウヴェス
  •   3 チアゴ・シウバ
  •   4 ダヴィド・ルイス
  •   6 マルセロ
  • MF
  • 17 ルイス・グスタヴォ
  •   8 パウリーニョ → 18 エルナネス (63')
  •   7 フッキ → 20 ベルナルジ (68')
  • 11 オスカル
  • 10 ネイマール → 16 ラミレス (88')
  • FW
  •   9 フレッジ

クロアチア

    GK
  •   1 プレティコサ
  • DF
  • 11 スルナ
  •   6 ロヴレン
  •   5 チョルルカ
  •   2 ヴルサリコ
  • MF
  • 10 モドリッチ
  •   7 ラキティッチ
  •   4 ペリシッチ
  • 20 コヴァチッチ → 14 ブロゾヴィッチ (61')
  • 18 オリッチ
  • FW
  •   9 イェラヴィッチ → 16 レビッチ (78')

 ブラジルの先発メンバーは1年前のコンフェデレーションズカップでもお馴染みだった構成。抜群の安定感とネイマールのアイドルっぷりで地元優勝を期待されています。対するクロアチアは個々の選手はクラブで見ているもののチームとしてどういうサッカーをするのかは勉強不足にて全く知りません。まあこれからそんな国はたくさん出てくるのであまり気にしないでください。

2014 FIFA World Cup Brazil™: Brazil-Croatia - Overview - FIFA.com

 ブラジルはまずボールを保持して積極的に先制点を狙っていきますが、クロアチアも自陣に入ってから中盤でしっかりと潰す形を作れているために簡単にはシュートまでいかせてくれません。プレスポイントがはっきりしていて前線に入れるグラウンダーのパスを許しませんでした。そこで2列目の3人の位置を入れ替え崩しどころを探っていたところでマルセロのオウンゴールでクロアチアが先制。
 ブラジルの両サイドバックが高い位置をとるのはどのチームも織り込み済みですが、開幕戦からあんなに綺麗に裏をとられるとは思っていませんでした。それまでも何度か狙っていたところでしたが中での人数は足りていましたし付き方も悪いわけではなかったのですが仕方ないですね。

 先制はされましたがブラジルはまだ余裕を持って組み立てていけます。フッキが左に流れネイマールが中央に、マルセロとの3角形を起点にしようというのがひとつ。さらにオスカルが右サイドに張ってダヴィド・ルイスと2人でサイドチェンジや裏のスペースを狙っていくのがひとつ。パウリーニョのボールの受け方も変化をつけて中盤のとりどころをずらしていこうという意図も見えますし、試合中にこれだけ修正してこれるチーム力はすごいです。
 待望の同点ゴールは中盤のつぶし合いを制したネイマールがドリブルで運んでそのままゴール右隅に決めました。執拗な右サイドでの裏狙いの影響か、クロアチアのDFラインが少し下がりはじめたところでネイマールには十分すぎるくらいバイタルエリアがあいてしまいましたね。

 後半はブラジルがサイドバックの上がりを抑え、右サイドのオスカルを起点にする崩しを増やしていきます。前半の左サイドとは違う形でコンビネーションを作っていき1対1の場面では確実に相手DFを外せるテクニックはさすがとしか言い様がありません。クロアチアの左サイドバックに入っているヴルサリコも前半はで耐えていましたが、オスカルの足元に的確なパスが入って前を向かれると止めるのは至難の業です。
 クロアチアのニコ・コバチ監督は中盤のコヴァチッチに代えてブロゾヴィッチを投入。その直後にスコラーリはエルナネスとベルナルジを相次いで入れ中盤を制する戦いになります。このあたりブラジルはもちろんですが、クロアチアも自分たちのやり方にある程度自信を持っているんだなあということがうかがえます。モドリッチもブラジルのはやいチェックに負けずしっかりとした組み立てを見せていましたし、前線にマンジュキッチが入ればさらに出しどころも増えてくるんじゃないでしょうか。

 PKによる勝ち越し点が入ってからは前に出るクロアチアと迎え撃つブラジルという構図に。そして途中交代で元気なベルナルジを中心とした左サイドからの崩しがまた出始めます。試合中意図的に重点を置くサイドを2度も変えてくるチームとかほんと嫌ですね。そこからのカウンターでさっきまで右サイドで起点になっていたオスカルが追加点。
 オスカルは去年のコンフェデではなかなかコンディションが上がらず苦しそうでしたがW杯にはしっかり仕上げてきました。この試合ではある意味ネイマールよりも重要なポジションで結果を出したんじゃないでしょうか。といってもセレソンの照準は確実に決勝に合わせてきてるはずなのでこれが1カ月保てるかはまだ疑問ですが。

 というわけで開幕戦は開催国のブラジルが順当に勝利。内容も素晴らしく今大会の優勝候補筆頭であることはやはり間違いないですね。
 PKの判定については直後から世界中で賛否両論というか主に非難があがっていますが、まあ主審の判断の範囲内なんじゃないかという感想に留めておきます。これで西村さんが決勝トーナメントに登場しなければやはりとるべきでなかったファウル。もし決勝で吹くことになったら賞賛されるべきいい裁定だったとFIFAが判断したということでしょうから。