前日に行われた開幕戦の余韻も冷めやらぬ中、グループステージの初戦で前回大会決勝の組み合わせです。
スペイン
- GK
- 1 カシージャス
- DF
- 22 アスピリクエタ
- 3 ピケ
- 15 セルヒオ・ラモス
- 18 ジョルディ・アルバ
- MF
- 16 ブスケツ
- 14 シャビ・アロンソ → 11 ペドロ (62')
- 21 ダビド・シルバ → 10 セスク・ファブレガス (78')
- 8 シャビ
- 6 イニエスタ
- FW
- 19 ディエゴ・コスタ → 9 トーレス (62')
オランダ
- GK
- 1 シレッセン
- DF
- 3 デ・フライ → 13 フェルトマン (77')
- 2 フラール
- 4 マルティンス・インディ
- DF
- 7 ヤンマート
- 8 ジョナサン・デ・グズマン → 20 ワイナルドゥム (62')
- 6 デ・ヨング
- 5 ブリント
- FW
- 9 ファン・ペルシー → 17 レンス (79')
- 10 スナイデル
- 11 ロッベン
スペインは今シーズンアトレティコ・マドリードで大活躍を見せたディエゴ・コスタをセンターハーフに置く4-3-3の形。2010年のワールドカップ、2012年のユーロで優勝したものの説得力のあるストライカーがいなかったこのチームにフィットすることはできるのでしょうか。
オランダは3バックの前に4枚並べる形の3-4-3。スペインの攻撃に対して前線の3人まで含めてどのような守備ブロックを作ってくるか注目です。
2014 FIFA World Cup Brazil™: Spain-Netherlands - Overview - FIFA.com
オランダは3バック試合前の予想通り7枚でバイタルエリアを埋めていく狙い。ただ単純にウイングバックを下げて5-2ではなく、近くにいる選手に対してはエリアをまたいでついていってボールが入るとかなり厳しくアタックしていました。特にイニエスタのポジションチェンジに対してはデ・フライをはじめ常に誰かがチェックして前を向かせない意図が感じられます。さらにファン・ペルシーやスナイデルもスペインのDFがオーバーラップした際にしっかりとついてきているためにさらにスペースがなくなっていく悪循環。
ただ中盤で潰すために最終ラインはかなり高めに保っており、ここでディエゴ・コスタの裏を狙う動きが有効に働いてきます。先制点につながったPKもDFラインの間を斜めに切った形でオランダの目論見を崩す形になりました。
先制されて前に出ざるを得なくなったことでオランダは序盤ほどコンパクトな陣形を作れなくなり、さらにスペインのペースに。ロングカウンターでシュートまでもっていくスペインを見るのはわりと珍しい気もします。ただその流れを断ち切ったのがファン・ペルシーのヘディングシュートでした。スペインの守備もオランダのビルドアップに対する人数は揃っていたのですが、セルヒオ・ラモスが完全においていかれてしまいカシージャスのポジションまで見切った完璧なゴールです。
ファン・ペルシーのすごさもさることながら、動き出しを見逃さずにクロスをあげたブリントもすごいです。センターライン付近でも簡単に蹴らせてはいけないということでスペインはより早いプレッシャーが必要になってきます。
ただそのプレスをさらに上回ったブリントは53分にも低い位置からのロングボールでロッベンの追加点をアシスト。FWの動き出しを見ながらダイレクトであんなボールが出せるとか脅威以外の何者でもありませんね。もちろんきっちりトラップして2人かわしてゴールに叩き込んだロッベンの得点能力は言うに及ばず、中盤からの守備にリソースを割いても個人でこれだけ持っていければ十分です。
スペインもペドロとトーレスと投入し前線の動きの活性化を図りますがオランダのバイタルエリアは閉じられたまま。サイドから放り込むという選択肢を持たないスペインは徐々に手詰まり感が出てきてしまい逆に5失点という最悪の展開になってしまいました。
オランダは90分を通してイニエスタをはじめスペインのポジションチェンジに対してかなり研究して対策をしてきた印象です。ポゼッションサッカー対策は各チームが近年様々な形で行っていますが、この試合のオランダもその集大成と言えるのかもしれません。もちろん前線に個の力で点の取れる選手とそこに正確なボールを出せる選手がいてこそのスピードに乗ったロングカウンターなのですが、その狙いがうまくはまったオランダが初戦を大勝で飾りました。