27 5月, 2014

UEFA CL決勝 レアル・マドリードvsアトレティコ・マドリード

 今シーズンも各国リーグが終了し、残すはヨーロッパの頂点を決めるCL決勝のみとなりました。CLの形式になってからは初の決勝ダービーマッチ、さらに舞台はリスボンということでイベリア半島内で収まってしまう形の今シーズンですが、運動量とスピードで対戦相手を凌駕してきた両チームによる最高峰の戦いが期待できます。

レアル・マドリード

    GK
  •   1 カシージャス
  • DF
  • 15 カルバハル
  •   2 ヴァラン
  •   4 セルヒオ・ラモス
  •   5 ファビオ・コエントラン → マルセロ (59')
  • MF
  • 19 モドリッチ
  •   6 ケディラ → 23 イスコ (59')
  • 22 ディ・マリア
  • FW
  • 11 ベイル
  •   9 ベンゼマ → 21 モラタ (79')
  •   7 クリスティアーノ・ロナウド

アトレティコ・マドリード

    GK
  • 13 クルトワ
  • DF
  • 20 フアンフラン
  • 23 ミランダ
  •   2 ゴディン
  •   3 フェリペ・ルイス → 12 アルデルヴァイレルト (83')
  • MF
  •   8 ラウール・ガルシア → 24 ソサ (66')
  •   5 ティアゴ・メンデス
  • 14 ガビ
  •   6 コケ
  • FW
  • 19 ジエゴ・コスタ → 7 アドリアン・ロペス (9')
  •   9 ダビド・ビジャ

 レアルはシャビ・アロンソが出場停止、ぺぺがベンチスタートと要所を押さえる選手がいないものの、ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドという世界中の監督がうらやましがる攻撃陣は健在。アトレティコは怪我で出場が危ぶまれていたジエゴ・コスタが先発出場とリーガで優勝した勢いそのままのメンバーです。

UEFA Champions League 2014 - Real Madrid-Atlético – UEFA.com

 前半9分で早々にジエゴ・コスタが退いてしまうというアクシデントはあったものの、レアルが攻め手を探っていく中でアトレティコがしっかり守備を機能させチャンスを作らせないというどちらも自分たちのやり方で押していくような形。ボールを持った選手が誰でもクオリティの高い攻撃を仕掛けていけるレアルに対してアトレティコはボールホルダーに前を向かせないという力業で対抗していました。
 レアルの伝家の宝刀であるスピードに乗った突破は一度抜かせてしまうとファウル覚悟でなければ止められないので、どのチームもやっていきたい戦術ではあると思うのですが、やはりプレスを回避して配球できるシャビ・アロンソの欠場が響いているのかここまでしっかりと抑えられてしまう試合は珍しいのではないでしょうか。前半縦のドリブル突破はベイルとディ・マリアの1度ずつくらいとなってしまいました。

 攻撃のポイントを抑えられさらに先制されてしまったことで流れを変えたいレアルはアトレティコの疲れを待つのではなくマルセロとイスコを投入。間違いなく攻めの起点を増やそうという交代で、これによってセンターからの展開のバリエーションが増し左サイドではロナウドがポジションをあけても高い位置で勝負できるようになりました。
 対するアトレティコもラウール・ガルシアに代えてソサを入れて中盤の運動量を確保し速いチェックを継続。徐々に押し込まれる時間帯となっていきますが4-4の守備ブロックに加えてアドリアン・ロペスとビジャまでしっかりと引いて守り確実に数的優位を作ってしのぎます。それでも個で仕掛けられるレアルもすごいのですが。

 後半ロスタイムまでアトレティコが守り切ってもうこのまま終了かと思われましたがこちらもまたCKからセルヒオ・ラモスが同点弾。最後まで流れで崩されなかったあたりアトレティコもがんばったのですがここまででした。延長戦は案の定一方的なレアルペース。もう仕方のないところではありますがビジャしかレアル陣地内でボールを持てないアトレティコに得点の気配はありませんでした。
 ベイルのフィジカルを見せつけるヘディングに続いて途中出場でスタミナが有り余っているマルセロのゴール、ついでにこの日全く仕事をさせてもらえなかったロナウドのPKと公式記録で終わってみれば4-1でレアルが10度目のビッグイヤーを掲げました。アトレティコは89分までリードしほぼゲームプラン通りに勝利を手にしかけていましたが初の栄冠には届かず、シメオネ監督が試合中にもかかわらずピッチ内に入って審判に抗議するなど残念な結果になってしまいました。

 120分で点差はつきましたがいずれにしてもレアル、アトレティコ両チーム共に自分たちのサッカーを高いクオリティで実践し90分間ハードワークできるチームであったことは間違いありません。守備をさぼるFWが許されるのは1人までというのはもはや常識ですし、ボールを繋げないセンターバック、攻撃時に脅威になれないサイドバックもこのレベルになると一段落ちて見えてしまいます。
 組織守備からのカウンターが持ち味と評されているアトレティコにもジエゴ・コスタをはじめ個で勝負できる選手は必要ですし、銀河系軍団レアルも(ロナウドはともかくとして)前線からのベンゼマのチェイスや中盤の選手による囲い込みは不可欠です。アンチェロッティもシメオネも自分のカラーを持ち選手を組んでいくタイプだとは思いますが、この両チームと準決勝で敗れたチェルシーやバイエルンとの違いは極端にどこかに振れるのではなく高いレベルでバランスがとれたチームだったのかなというのを強く感じた大会でした。