28 6月, 2013

FIFAコンフェデレーションズカップ準決勝 スペインvsイタリア

 準決勝のもう1試合は前回W杯王者で欧州選手権の覇者スペインとその欧州選手権決勝でスペインに破れたイタリアの対決です。こちらも順当な結果ながら欧州選手権決勝カードの再現ということで、イタリアがリベンジを果たすことができるか嫌が応にも期待が高まります。当の選手や監督たちは記者会見であの試合とは違うということを繰り返し強調していましたけどね。

ESPITA

スペイン

  •   1 カシージャス
  • 17 アルベロア
  • 15 セルヒオ・ラモス
  •   3 ピケ
  • 18 アルバ
  • 16 ブスケツ
  •   6 イニエスタ
  •   8 シャビ
  • 11 ペドロ
  •   → 13 マタ (79′)
  •   9 トーレス
  •   → 4 ハビ・マルティネス (94′)
  • 21 ダビド・シルバ
  •   → 22 へスス・ナバス (53′)

イタリア

  •   1 ブッフォン
  • 15 バルザーリ
  •   → 18 モントリーヴォ (46′)
  • 19 ボヌッチ
  •   3 キエッリーニ
  •   2 マッジョ
  • 21 ピルロ
  • 16 デ・ロッシ
  • 22 ジャッケリーニ
  •   6 カンドレーヴァ
  •   8 マルキージオ
  •   → 7 アクイラーニ (79′)
  • 11 ジラルディーノ
  •   → 10 ジョビンコ (91′)

 イタリアがグループリーグ3試合で採用した4バックではなく欧州選手権の初戦で披露した3バックで臨んできました。ウイングバックに多大な運動量が求められるシステムですが、マッジョとジャッケリーニが献身的に走り続け数的優位を作ることでスペインを追い込んだため好きなシステムのひとつです。前線のメンバーは変わっていますがその試合の先発メンバーはこんな感じでした。

ESPITA EURO2012

FIFA Confederations Cup Brazil 2013: Spain 0:0 a.e.t. 7:6 PSO Italy - MatchCast - FIFA.com

 試合は序盤からスペインがいつも通りボールをポゼッションして攻撃の機をうかがうも、イタリアが最終ライン5枚、その前に3、4枚かけてブロックを作りしっかりとスペースを潰して守ってきます。中盤で日本戦とブラジル戦では先発メンバーに入らなかったキエッリーニがしっかりと引いて、いいところでスペインの攻撃の起点を作らせないような動きをしていました。
 攻撃面でもボールを奪ったらウイングバックの上がりに合わせてワイドに展開し、そこからゴールを狙っていこうという流れがきっちりとできています。右サイドのカンドレーヴァとマッジョが2人ともあがって何度もいい崩しを見せてくれましたし、エリア内でプレーしたいジラルディーノに合わせて中盤の選手がドリブルで持ち上がる場面も多かったです。スペインのサイドバックも中央でのパスまわしに合わせてあがっていき攻撃参加をしたかったのでしょうが、守備に忙殺されてしまいなかなか高い位置をとれなかったのはイタリアの戦術がはまっていたと言えるでしょう。

 前半はスペインが相手陣地でまわしている時間は長いもののチャンスの数はイタリアの方が多く作れていましたが、ハーフタイムでイタリアのプランデッリ監督はデ・ロッシをバックラインに下げボランチにモントリーヴォを入れてきます。プランデッリとしてはスペインがかなり前から追いかけてくるようなプレッシングをしてきていたので、デ・ロッシに最終ラインでそれをかわしてビルドアップの起点になるような役割を期待したのかもしれません。イタリアとしても厳しいコンディションの中90分間トランジションサッカーを続けるわけにもいかないでしょうし。
 しかし、代わりに入ったモントリーヴォがやはり今大会イタリアのウイークポイントとなっている中盤での守備の甘さを抱えているために、スペインに入り込んでこられる隙をわざわざ作ってしまったような気もします。スペインは後半開始直後からボールまわしのエリアを前半より明らかに後ろで行い、マルキージオとカンドレーヴァをハーフウェーライン付近で食いつかせることによってその前のスペースをあけようと試みていましたし、53分には縦への突破力のあるヘスス・ナバスの投入によってバックラインを下げさせイタリアの守備ブロックを間延びさせようという狙いが明確に見られました。

ITAdefense

 右サイドはパスアンドゴーについていかない中盤の守備によってイニエスタが飛び出してくる形を許してしまい、左サイドではヘスス・ナバスのマークについたキエッリーニがサイドに流れたところまでケアしなければならないような状態とスペインが先制するのも時間の問題かと思われるような試合展開でしたが、スペインも途中から厳しい日程の影響からか目に見えて運動量が落ちてきて前線に人数をかけられなくなり、低い位置からロングボールを放り込むなどらしくない攻撃が続きます。
 イタリアも前半からいい崩しを見せていた右サイドからのクロスを何度も狙っていきますが、ダイレクトシュートを得意としているはずのジラルディーノに合わせることはできず両チームともに打開策を見いだせないまま120分が終了してしまいました。ハビ・マルティネスとジョビンコが両チームのセンターフォワードに入る試合なんてなかなか見られないのでそこはおもしろかったかもしれませんが。

 PK戦も両チームともに落ち着いたクオリティの高いキッカーを揃え見応えのあるものになりましたが、決勝にはスペインが進むことになりました。年間の試合数が増えナショナルチームの国際大会も短い期間で終わらせなければいけないので、中3日など厳しい日程で試合が続くのも仕方のない部分はありますが、もっといいコンディションで対戦することができればよりおもしろい試合が見れたのかなとも思ってしまいます。来年のW杯では気温が30度をこえ湿度も高い環境の中で大会期間中のペース配分ができるチーム力も鍵になってくるかもしれません。